今年は秋の訪れが早いといわれますが、秋は気候がよいため眠りやすい季節。夏の疲れも出てくる頃ですから、ぐっすり眠りたいものです。ただ、そんな季節にも関わらず、眠れない、すぐに目が覚めてしまうという人は、要注意! 一度、専門医に相談したほうがいいかもしれません。

 

その不眠、もしかしたらうつかも…


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忙しくて眠る暇がない、そういう人は、時間管理を見直せば睡眠を得ることができますが、ベッドに入ってもなかなか眠れない、すぐに目が覚めてしまうといった状態が続いている人は、放っておくのは危険です。もちろん、そういう状態の人でも、実は日中の過ごし方や寝室環境が悪く、それが不眠の原因になっている場合もありますが、睡眠障害やうつといった病気が隠されている可能性もあるので、2週間以上同じ状態が続いたら、一度、専門医に相談してほしいと思います。

 

経済的不況と自殺者数には相関関係があるといわれていますが、悲しいことに、長引く不況のためか、今年も自殺者が増えています。自殺の原因は、経済的貧窮だけでなく、職場環境の悪化や人間関係のトラブル、うつなどの病気など、いくつかの要因が複合的に関わっていることが多いといわれ、とくにうつなどの精神的疾患があると、悲観的になり、自殺に至ってしまう危険が高くなってしまうようです。それを防ぐには周囲の人が早い段階で気づいてあげることが大切ですが、その危険サインとなるのが不眠です。うつと不眠には因果関係があるので、何日もよく眠れないという人は、早めに病院へ。

 

ただ、病院選びは慎重になるべき。うつの治療は主に薬によることが多く、効果も出ているのですが、病院によっては一度に何種類もの薬を処方し、それによって副作用が起きたり、かえって症状が悪化してしまうことがある、という報告もあります。不眠が主訴なら、まずは睡眠専門医に相談し、うつが強く疑われる場合は、神経内科やメンタルクリニックへ。生活状況、眠りの状態、心の悩みなど、じっくり話を聞いてくれて、処方する薬についてもきちんと説明をしてくれること。また、生活の見直しについてもアドバイスしてくれるような先生を選ぶとよいでしょう。ろくに話もせず、ただ薬を何種類も出された場合は、セカンドオピニオンを受けたほうがいいかもしれません。睡眠専門医については日本睡眠学会のホームページを参考に。
余談ですが、今までうつの診断は主に、問診によるものでしたが、最近では血液検査でわかるようになってきたとか。まだ一般的ではないようですが、それが普通になればより早く簡単に、うつが発見できるようになるかもしれません。

 

安易に薬を飲むのは危険


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うつなどの病気の人にとって、薬は有効ですが、実は眠る時間がないだけ、日中昼寝をしているから眠れないだけ。そんな人が、安易に薬を飲むのはオススメできません。ほんの一部だと思いますが、医師といえども睡眠の仕組みを知らない先生もいるようで、眠れないといっただけで、すぐに薬を処方する病院もあるようです。また、患者側も生活を見直すより薬を飲んだほうが簡単という理由で、薬に頼ってしまう人も少なくないようです。

でも、不眠に限らず、肥満、動脈硬化など、多くの病気が生活習慣に原因があることはみなさんもわかっているはず。生活がめちゃくちゃなのに、薬でごまかすような生活は、根本改善とはいえません。「規則正しい生活、バランスのとれた食事、適度な運動と良質な睡眠」。これこそが健康な身体を作る基本。ただ、実践するのは簡単なようで難しいのも確か。でも、健康である今のうちに身につけておかないと、なかなか改善できるものではありません。厳しい経済状況の今、ついつい自分の身体のことをないがしろにしがちですが、眠れない、食欲がない、疲れが取れない、やる気が起きないといったサインを感じたら、ぜひぜひ生活を見直してみてください!

 

 

 

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ぐっすり睡眠&スッキリお目覚めのツボ[連載終了・全70回]

睡眠改善インストラクターによる快眠&めざめのヒント[連載終了・全70回]
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睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美

日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善シニアインストラクター。日本産業カウンセラー協会認定・産業カウンセラー。
米国Mary Baldwin College心理学科卒業。フリーの編集ライターとして美容や健康などに関する記事に携わり、その経験から睡眠やメンタルヘルスの重要性に気付き、上記の資格を取得。忙しい現代人にこそ良質な睡眠が大切だと、雑誌や講演活動などを通して睡眠について伝えている。
著書には「眠りダイエット」(文芸社)がある。

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