vol.1-20 睡眠リズムと女性ホルモンの深い関係-女性の眠り1

 

女性の生活は女性ホルモンによって左右されるといわれることがありますが、体や心はもちろん、睡眠にも影響します。女性ホルモンが睡眠に影響するなんて意外に思う方もいるかもしれませんが、生理前後に眠気が強くなるという人は少なくないはず。そこで今回はホルモンのお話を含めた女性の眠りについてお話します。

 ■ 黄体期には眠気が強くなる

 

女性の体は思春期に入ると初潮を迎え、成熟していきますが、こういった変化は主に、エストロゲンとプロゲステロンというふたつの女性ホルモンによるものです。このホルモンは下記のような働きをしますが、内分泌のリズムは睡眠のリズムと相関しているといわれ、睡眠状態はホルモンで変化し、性差、年齢、月経周期によっても変化すると考えられます。

 

生理から排卵まで(卵胞期)はエストロゲンの分泌が増え、体(お肌も)も心も眠りも安定します。しかし、排卵を境に、生理がくるまでの間(黄体期)はプロゲステロンの分泌が増え、その変動で体調が不安定に。

 

 

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実はプロゲステロンには睡眠作用があるといわれ、黄体期や妊娠初期は眠くなることが多いようです。黄体期は基礎体温が高くなるため、夜になっても深部体温(直腸の体温<内臓の体温で、人は深部体温が高いと眠りにくく、低くなると眠りやすくなる性質がある>)が十分に下がらず、寝つきにくくなったり、夜間の眠りの質も低下しやすくなります。プロゲステロンの影響で体調や気分も不安定になるために、さらに日中、眠気が強くなったり、やる気がでないといった状態になりやすいようです。

 

エストロゲン(卵胞ホルモン)
女性らしさをつくるホルモン。10歳くらいから分泌量が増え、子宮や乳房などの発育や脂肪沈着作用があり、最近では自律神経、感情、骨、皮膚、関節、粘膜、筋肉、脳など、さまざまな体の働きに関係していることが明らかになっています。

 

プロゲステロン(黄体ホルモン)
妊娠を助けるホルモン。受精卵を受け入れ(着床)しやすいように子宮内膜の状態を整えますが、未受精の場合は約2週間で内膜を壊し(掃除して)、月経が生じます。

 

 ■エストロゲンは体のさまざまな機能に関係する

 

エストロゲンの説明でご紹介したように、エストロゲンは自律神経や感情、皮膚や筋肉、脳の働きにも関わっていますが、脳にはこれらのホルモンの分泌を調節する「フィードバック機構」が備わっています。常にエストロゲンやプロゲステロンの分泌量を脳が見張っていて、ホルモンがたくさん出ていれば分泌を控えるといった調節を行っています。つまり、脳がきちんと働いていれば、ホルモンの分泌も整うのですが、睡眠不足などで脳の機能が低下していると、ホルモンの分泌が乱れ、さらにホルモンの分泌が乱れることで脳や体の機能も低下するという悪循環が起こることが考えられます。

 

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女性の生活は男性以上に忙しくなっていますが、同時に、眠れない、月経が重い、月経が不順だといった女性が増えているよう。男女平等の考えは良いことですが、それはまったく同じということではなく、性差を考慮した上で平等であるべき。それを忘れて男性とまったく同じように過ごしていたり、同じに扱われる環境にいる人は、健康を害してしまう前に見直してみることをオススメします!

 

・規則正しい生活を心がける
・ゆったりとお風呂に入る
・体を冷やさない
・ストレスをためない
・無理をしない

 

 睡眠のリズムを正し、ホルモン分泌のリズムを正常にするためには、寝起きする時間はなるべく一定に。また、深部体温の温度を下げたほうが眠りやすいといっても、それは体を冷やせば良いということではなく、「冷えを改善して、寒い夜もぐっすり眠ろう」でご紹介したように、全身の血行をよくして放熱を促すのが正解。昔からお腹を冷やすと健康によくないといわれる通り、内臓の体温が1℃下がると消化力も免疫力も大幅に低下するといわれています。カンジタ膣炎なども免疫力が低下したときに起こりやすくなるので、絶対にお腹は冷やさないこと。寝つきが悪いときはぬるめのお風呂にゆったり入り、放熱を促しましょう。また、ストレスは自律神経の働きを乱し、眠りを妨げる原因になるので、リラックスを心がけましょう。

 

参考図書/「睡眠とメンタルヘルス」(ゆまに書房) 監修:上里一郎 編:白川修一郎
「女性ホルモン塾」(小学館) 対馬ルリ子・吉川千明著

 

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この記事を書いた人
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ぐっすり睡眠&スッキリお目覚めのツボ[連載終了・全70回]

睡眠改善インストラクターによる快眠&めざめのヒント[連載終了・全70回]
Written by

睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美

日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善シニアインストラクター。日本産業カウンセラー協会認定・産業カウンセラー。
米国Mary Baldwin College心理学科卒業。フリーの編集ライターとして美容や健康などに関する記事に携わり、その経験から睡眠やメンタルヘルスの重要性に気付き、上記の資格を取得。忙しい現代人にこそ良質な睡眠が大切だと、雑誌や講演活動などを通して睡眠について伝えている。
著書には「眠りダイエット」(文芸社)がある。

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