朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『わたぶんぶん わたしの「料理沖縄物語」』。
以前、ご紹介した本が装いも新たに文庫化されました。沖縄料理の味をつづった美味しいエッセイです。
「わたぶんぶん」とは、沖縄の言葉で“おなかいっぱい”のこと。沖縄出身の両親をもつ著者が、沖縄独特の料理や心に残る食事の思い出をつづります。
『わたぶんぶん わたしの「料理沖縄物語」』
著者:与那原恵
出版社:講談社
心を込めて手間ひまかけて作られた沖縄の味。その手作りの味わいを沖縄の言葉で「てぃあんだぁ」というのだそうです。次々に登場する愛情たっぷりのてぃあんだぁな料理。ソーミンプットゥルー、うからいりちー、らふてぇ、アーサ汁。著者が愛する料理のひとつひとつに忘れられない出会いがあり、人と人とをつなげていく。
日曜日の午後、クレープに似た甘いお菓子の「ぽうぽう」を、父は娘だけのために作ってくれた。十歳の「私」はお菓子が焼き上がるのを待ちながら、兄や姉には内緒にしておこうと思う。「ぽうぽうという音の響きはその味のように甘くやさしい。父のようにわたしを愛してくれるひとはこの世にいない」——。
かけがえのない記憶と結びついた素朴なお菓子ぽうぽう。もう会うことのかなわない人とのごちそうの思い出ほど、胸にせつなく迫るものはありません。「料理の記憶とは人と過ごした時間のことなのだ」という言葉が心にしみます。
わたぶんぶんの「朝時間」は、じーまみ豆腐。与那原さんが通った沖縄料理店の「おばちゃん」が、朝から手間をかけて作ってくれた料理です。本のお供には、沖縄民謡「てぃんさぐぬ花」が似合います。
表紙カバーの絵は奈良美智さんの作品です。私はこの少女にぽうぽうが好きだった十歳の頃の著者を重ねています。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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