朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、日常の幸せに気づく本。
ようやく少しずつ穏やかな日々が戻りつつあるなか、なんでもない日常が当たり前にあることの幸せをあらためて感じます。毎日のささやかな喜びや楽しみを大切にしたくなる2冊を選びました。作家の小川洋子さんが日々の暮らしや愛しい人たちとの思い出を綴ったエッセイ、吉本ばななさんのおいしいごはんにまつわる心温まる話をぜひどうぞ。
『とにかく散歩いたしましょう』
著者:小川洋子
出版社:文藝春秋
このエッセイが綴られていた日々、小川洋子さんのそばには愛犬・ラブがいる。いつもご機嫌なラブは小川さんを大きな愛情で包み込む。あれこれ思い悩んでいると背中をそっと押してくれる。
ふたりの散歩道で「何もかもが手遅れで取り返しがつかないような気分」に陥って立ち尽くす著者をラブがさりげなくリードする。「ぼやぼやしている場合じゃありません。さあ、次の電信柱ですぞ」と言うように。つらいことがあった夜、犬は文句も言わずじっと帰りを待っていてくれた。そのあと散歩に出ると、いつも以上に元気に歩いた。今日がなんとか無事に終わってまた明日。ふたりの散歩が一日一日をしっかりとつないでいきます。
愛犬と過ごす毎日、小説と向き合う時間、もう会えない懐かしい人への想い、イタリア旅行のエピソードなど四十六篇。魅力的な本の話もたくさん。本の中で著者が一番好きな題名も紹介されています。そして思うのはこの本のこと。とにかく散歩いたしましょう。優しい犬の姿が浮かぶタイトルが私は好きです。
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『ごはんのことばかり100話とちょっと』
著者:よしもとばなな
出版社:朝日新聞出版
お子さんがまだ小さい頃、ごはんが暮らしの真ん中にあった。ばななさんが家で作る料理が家族をひとつに結んでいました。
ある日のごはんの献立は、残りごはんで作った二種類のおにぎり、なすと大根のおみそ汁、それから卵焼き。みんなでテレビを観ながらピクニックやキャンプのようにして食べた。子どもも大人も楽しい「てきとうなごはん」から、いつかお父さんが作ってくれた夜食の思い出へと話は広がっていく。
ばななさんにとっていちばん大切なことは、くつろいでおいしくごはんを食べること。お姉さんの絶品コロッケ、友だちが作ってくれたスパゲティ、旅先で食べた懐かしい味……。近所の行きつけのお店に心慰められることもありました。つらことがあったとき、大好きなカフェに寄ってかき氷を食べたら、自分が大丈夫だと思えた。そんなほろりとするエピソードもつづられています。
うれしいときも悲しいときも、おいしい食べもので元気になれる。優しくてにぎやかで時々ハプニングもある食事の話に心がなごむ一冊をどうぞ。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
*『とにかく散歩いたしましょう』
*『ごはんのことばかり100話とちょっと』
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
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