朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『愛についてのデッサン』。
夭折の芥川賞作家・野呂邦暢の傑作『『愛についてのデッサン』』が、はじめて文庫化されました。1970年代を舞台に、古書店の若き店主の青春を描きます。短編小説5篇も収録しています。
『愛についてのデッサン 野呂邦暢作品集』
著者:野呂邦暢/編:岡崎武志
出版社:筑摩書房
主人公は小さな古書店を継いだばかりの店主・佐古啓介。根っから本が好きで、古本屋という職業に魅力を感じています。「小説、歴史、美術関係に限定し、それも小説なら自分の好きな作家のものをあつかいたい」そんなこだわりのある古書店にしたいと願っているのですが……。
著者は、中央線沿線の阿佐ヶ谷駅近くにあるこの古書店を舞台に、啓介の成長と青春の日々をみずみずしく描いています。啓介は小さな店を飛び出して古書をめぐる旅に出たり、ミステリアスな出来事に遭遇したり、複雑な恋愛関係に巻き込まれていきます。
旅先でのエピソードも魅力的ですが、やはり古書店主としての啓介の日常に惹かれます。台所で一人お茶を淹れ、夜ふけに好きな詩集を読む。「詩を味わうには味わうための時間というものがある。いつでも読めるわけではない。啓介は自分が今、詩を受け入れやすい状態になっていることを意識した」——。一冊の本から物語の扉が開かれていく。本好きにはきっとたまらない作品だと思います。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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