(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
最終週であるWeek 8は、再び、主人公紗季の視点でストーリーが展開します!)
Vol.51 Week 8 「本当にたいせつなものは」 (2)思い出のチョコレート
街は、2月14日が近づいてきたことを知らせる。赤のサインが多くなり、目につく。
ここ2年業務としてこなしてきたが、プライベートのイベントとしては3年ぶりのことだ。こういう時に、女子力の低さを呪う。
朝ヨガのあと、アレックスにそれとなく聞いてみた。
「ねえ、優斗ってもてた?」
「なぜ、本人に聞かない!?」
「そこまででもないことだから。でも知りたいってあるでしょ。何でも本人に聞けばいいってもんじゃないじゃない」
「複雑なことで。感じるままに」
「まあ、そうだよね」
「バレンタインも、もう一通りもらっちゃったんじゃないかなって。思い浮かばなくて」
アレックスはふふふと笑って、「男は女ほど複雑じゃないから大丈夫」と言った。
まだ距離を縮めたわけじゃないわたしたちなのだ。
こうしてひとつひとつ、イベントを経験していくたびに、絆が深まるものなんだろう。少し面倒だな、って思うくらいがちょうどいいのだ。
東京に出て来てからお気に入りの白金のチョコレート屋さんに行こうと思い立った。その頃、街を探索していて出会ったかわいいお店。のちにそれが有名店だと知ったのだ。
そこで目にしたクランベリーのチョコレート。わたしのお気に入りで、真治のお気に入りだ。
真治の好きなものを手にとった。懐かしい。
ニューヨークに行く前のこと。会社のひとたちに義理チョコにこのクランベリーのチョコレートを選んだ。
「おお、新城選手!ありがとう」
「うまっ!」
そう叫んだ真治の反応がやけに嬉しくて、素直に
「お口に合って良かったです!」
と言うと
「なんかお前らしくない素直さだな。俺、甘いの苦手そうとか気を使われて、チョコもらう事少なくて。もらうものと言ったら、シルバーものとかネクタイとか・・・」
「それ自慢ですか?」
わたしたちは減らず口をたたきあったのだけど、真治は本当にこのチョコレートが気に入ったらしく、よく店に足を運ぶようになったのだ。
(つづく)
今週のおすすめヨガ「ランジのポーズ(ひねり)」
Week 8のおすすめは「ランジのポーズ(ひねり)」。
ランジのポーズにひねりを加えたもの。ひねるポーズは内臓にほどよい刺激を与えます。深い呼吸とともに、身体を下腹部からゆっくりひねりましょう。
安定感を欠いたり、内臓が重かったり、さまざまな気付きから、自分の身体の状態が分かるようになりますよ。
「ランジのポーズ(ひねり)」の流れ
- 両手を床につき、片足をその両手の間、もう一方の足は、大きく後ろに。後ろの足のかかとで後方を押します。
- 状態をひねります。前方の足の太股の外側に、反対側のひじで押さえるようにひねります。深い呼吸を忘れずに。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。