【朝の恋愛小説:あしたの朝、ヨガスタジオで。Vol.43】Week 7(1)人生の成功を求めて

 

(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。

Week 7は、再び、主人公紗季の元恋人である真司の視点でストーリーが展開します!)

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Vol.43 Week 7 「世界で一番大切にしたいひとは?」 (1)人生の成功を求めて

しおりの告白には正直なところ、心を打たれた。

あれだけ直球に向かってくる女性に出会ったことはなかったし、30を超えたらなおさら機会自体が減る。

この年の恋愛は、人生設計のような現実的なことが頭をよぎる。結婚や同棲という話を聴くたび、少し憂鬱になるのだ。

唯一、それを考えたいと思った紗季が僕のもとを去ったとき、結婚はもうできないのだろうと悟った。

NYに降り立つと、スイッチが入った。

住み慣れた街なのに、刺激的。東京ももちろん刺激的だけれど、NYは、常にフロンティアスピリッツとエンターテインメントがある。

人生の成功者になろうとか、とびきりの教養や人生を楽しみきろうとする世界中のエネルギーがこの小さいマンハッタン島に集まっているのだ。

僕もこの街にきて、人生の成功者になりたいと思った。その心をもう一度自分の身体の中心へ据えて。

富や名声とかそういう類いのものでなく、「いま、楽しい」と思える瞬間を多く持てるように。

ニューヨークに戻ってくる前、終電近くまで働いていた紗季を待って、会社の前で声をかけた。最後のチャンスへの回答はこうだった。

「真治、本当にありがとう。実はずっと真治のこと引きずっていたの。よくさ、ロックフェラーのツリーの前で、真治が現れたときの夢を見たりして」

紗季がため息混じりの乾いた笑いをした。

「真治が帰って来た日、正直どうにかなってしまいそうだった。でも、時間は巻き戻せなかった。近くにいればいるほど、決定的にもう終わったことだったんだって気付いた」

気持ちはやっぱりIt’s too lateから変わらない。

紗季の顔がさっぱりしていた。新潟で会ったときよりも、数段。諦めるべき時だということは分かった。

だから正直、成田でしおりを見かけたときは、救われた。NYに戻ってきたあと、しおりのことを考える機会が増えた。

でも結局、同じくらい紗季のことも考えることになってしまった。

しおりと付き合うならば、本当に紗季を諦める必要があるからだ。

(つづく)

今週のおすすめヨガ「すきのポーズ」

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Week 7のおすすめは「すきのポーズ」。

上半身の柔軟性を高めるだけでなく、内臓や神経にも刺激を与える万能のポーズ。ヨガのフローの終盤で取り入れることが多いポーズです。脊柱に刺激を与えます。

「すきのポーズ」の流れ

  1. 仰向けになり、背中をゆかにぴったりつけて、両足を胴体に近づける。
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  2. 腰を持ち上げ、足を頭上に運び、床に足先を落とす。腰があがるように手でサポートする。
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  3. サポートしている手をはずし、床にぴったりとつける。
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(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

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★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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