(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
Week 5は、主人公である紗季との交際をスタートさせた優斗の視点でストーリーが展開します!)
Vol.35 Week 5 「39歳の初恋」 (7)僕の好きなもの
紗季と過ごしてみることで、僕の世界が一変した。
「優斗さん、オニオンスープで創ったフリッタータ。この間オニオンスープ好きだって言ってたらから、仕事前の腹ごしらえに」
純粋に大切に思うということを、行動で現すというのは、こういうことかと初めて気付いた。
いつの間に僕の何気ない言葉に耳を傾けてくれていたのだろう。
そうして僕も、いつの間にか、紗季の好きなものは何だろう、どうしたら喜ぶ顔がみられるのか、そんなことばかり考えるようになっていた。
こんなにもそのひとを思う気持ちになるのは初めての経験だった。
まだ数日しか経過していなかったが、僕たちは順調にお互いが歩みよっているように思えた。毎朝、ヨガで顔を、そして呼吸を合わせていることが大きい。
いつもの朝ヨガのあと、しおりを交えて3人で朝ご飯を食べにいくことになった。
何を企んでいるのか、それとも天然なのか分からないながら、しおりの発言はいつも僕の心臓に負荷をかける。
「わたし、明日真治さんにぶつかってこようと思うんです。」
僕は紗季の表情を確かめるよ
うに見た。見返りはいらないようになりたいのに、どんどんと欲深くなる自分を押さえられずにいた。
「そうか、しおりのこと応援するよ、これは本心」
「正直言って、紗季さんばっかりって思いますよ」
「アレックスだって、真治さんだって、そして優斗さん。なんでなの?って。だって普通、若くてちょっとおバカな感じくらいのがモテるじゃないですか」
あっけらかんとしおりが話すので、紗季と2人で笑ってしまった。
「実際そうだと思うけど、しおりはおバカじゃなくて、しっかりしてるからね」
「え〜!それ失敗じゃないですかぁ」
しおりは、きゃきゃきゃと笑う。
コロコロ表情を変えて面白い子だ。若くて素直で、女の子らしい。
昔ならこういう子が好きだったのかもと思うと、ひとの気持ちが変わってしまうのが怖い。いまは紗季を愛しているけれど、そのうち変わってしまうのかもしれない。もちろんそれは紗季も同じことだ。
だからこそ、いまを大切にしなくてはいけない。
僕は、しおりに見つからないように、テーブルの下で紗季の右手を、握りしめた。
紗季が微笑んだのを確認して、僕はただ安心した。
(Week6へつづく)
今週のおすすめヨガ「チャイルドポーズ」
Week 5のおすすめは「チャイルドポーズ」。
ヨガでは、お休みや癒しのポーズとしても使われます。それだけ、リラックスすることができるということです。ただ単なるお休みではなく、呼吸を落ち着かせ、内臓を刺激し、力を抜くことができます。
出来るだけ、背中を緩めて自由な背骨を作り、呼吸に注目します。呼吸が整うことで、さらに骨・筋肉ともに動かすことができ、自由な上体を作ることができますよ!苦しい時、休みたい時、朝起きるときにおすすめ。
「チャイルドポーズ」の流れ
- 膝をたて、両膝に均等に体重がかかるようにしまっすぐ立つ。また、足先の親指と親指を重ね合わせておく。
- 両かかとにおしりをおとし、上体はリラックス。この時腰が後に落ちてしまわないように、注意しましょう。息を吐きながら、ゆっくり膝を床の方へ向かって開いていきます。
- 息を吐きながら、上体を前傾します。なるべく前方へ手をひっぱります。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。