(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
Week 3は、紗季の元恋人である桜井真治の視点でストーリーが展開します!)
Vol.18 Week 3 「ニューヨークの真実」 (4)アイコンタクトが作る2人だけの時間
「予算もあまりないので、支店スタッフは3名、エクスポ用の通訳を2名交代制で手配済です」
会議室には、エクスポに必要な資料がすべて並べられていた。紗季が左から順番に手際よく説明する。
「これがブローシェのサンプル。商品はすべて前日に支店から運び出すよう整っています。あくまでも、今後グローバルブランドとしての意識づけのためで、高級老舗デパートなどへの売り込みを強化が目的とした作りです」
「サブカルも含む日本の文化政策のひとつだと紛れないよう、Cool Japanという印象は一切排除、日本が誇る唯一無二のマニュファクチャリングの技術と日本人の細やかな感性のフュージョンであるということを押し出し、Gift from Japanというコンセプトでいくつか説明スクリプトを用意しています。英文は添削ください」
「いいね、了解。英文をチェックしてから、明日のテレカンで、支店スタッフにインプットするから、ファイルデータをすべて共有ください」
「了解しました」
「それから、僕に個人的な時間をとってください」
「な・・・」
会話のテンポを崩さないことだけを心がけた。紗季を正面から捉えた。夜の時間でさえ、こんな風に見つめたことがないくらいに。
ほんの数秒間。息もせず、目だけで訴えている間、紗季も同じように息を止めているように見えた。
強烈なアイコンタクトは、この世の中は2人しか存在しないのではないかと思えるほどに凝縮された時間を思わせた。
もしかしたら、逆転できるのかもしれない。
「もう終わったことです、気にしていませんし、時間をとる必要もありません」
そしてにっこり笑ってみせた。
「あの時より、わたし、仕事できるようになったでしょ?」
「だから、いまは感謝しています。この仕事も目標達成できるように尽力しますので」
そういって席を立った。
「あの時、僕にはどうすることもできなかったんだ」
「失礼します、それからわたし、ヨガスタジオの優斗さんとお付き合いしようかなって思っているんです。すみません、個人的な話をして」
僕は心臓が止まりそうなのに、平気な顔をした。
好きな女の前だけでは、見栄をはるらしい。
(つづく)
今週のおすすめヨガ「三角のポーズ」
Week 3のおすすめ「三角のポーズ」も、先週の「木のポーズ」同様、ヨガの代表的なポーズ。
腕から体側、脚までをバランスよく伸ばし、大地を踏みしめる力強いポーズ。滞りがちな股関節周辺の関節の動きや筋肉を動かし、リンパの流れや血流も良くします。
股関節の位置が上手くはまると、きつさがなくなり、関節への心地よい刺激で、身体の中がぽかぽかしてきます。
「三角のポーズ」の流れ
- 足裏全体を床に根をはるようにイメージし、ひざ頭、うちももを引き上げ、骨盤まで足の裏からの意識を繋げていきます。上体は、緊張させず、リラックス状態を意識します。
- (1)の状態から、左足を大きく一歩後方へ進め、マットに対し、45度左側に足先を開きます。左足うら全体で、床を押します。この時、親指からうちももを特に意識をおき、うちももを内側に少しひねるようにし、左の骨盤を前に押し出します。
- (2)の状態から息を吐きながら、左の骨盤を今度は真横に開いていきます。左足先は、マットに対し90度に開き、両手も開きます。
- 骨盤を左側にずらし、右手を前方にひっぱられるように移動させます。左の骨盤と右手先の感覚が繋がるように意識します。反対側も同様に行います。
- 右手を右足に落とし、左手を天井に上げ、左胸から天井へひっぱられるようにカラダを広げます。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。