今日のカフェボンボンの本棚は、『ウッドストックの森の日々』。
アメリカ在住の作家・小手鞠るいが米国人の夫と過ごす緑あふれる森の暮らし。ニューヨーク州郊外、ウッドストックでの日々を心温まる筆致でつづります。
『ウッドストックの森の日々』
著者:小手鞠るい
出版社:ポプラ社
恋愛と同じくらい、魅力的な森の生活。「いいえ、もしかしたら恋よりも素敵」と恋愛小説の名手は書く。
雨の日も風の日も森に会いにいく。小川のせせらぎ、動物や鳥の声、樹木のこすれあう音、りすの木登りの音。心が澄みきるにつれ、森の音がくっきりと聞こえてくる。
森に行けない時、森が恋しいと体が叫ぶ。森の小道を歩けば、からからに渇いた心が潤い「森が体のなかに満ちてくる」のだ。
家の修理をめぐる騒動はまるで映画の『マネー・ピット』のようだけれど、どんな苦労も森が見守っていてくれる。自然の優しさに抱かれながら人生がゆっくりと深まっていく。
ウッドストックの森の「朝時間」は、雨あがりの朝。オークの葉っぱが空から舞い降りてきた秋の日です。
綿毛や羽根や樹氷のかけら。著者は空からの贈り物を静かに受けとめる。シンプルでロマンチックな森の日々に心癒されるエッセイ。深い余韻を残す一冊です。
Love, まっこリ〜ナ
*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
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