今日のカフェボンボンは、作家・江國香織のショートエッセイ集。
身近なものや言葉に、幸福なイメージが重なります。
『とるにたらないものもの』
著者:江國香織
出版社:集英社
素敵なのは、ガラスのレモンしぼり器の話。それは、昔、祖母が恋におちた男の人に贈られたもので、彼女はいつもそれでオレンジエードを作ってくれた。祖母の宝物がそのレモンしぼりひとつだったというのがいい。
石けん、旅行鞄、子守唄。身のまわりにいつもそっと存在しているものや言葉。どうして気になるのか、どんなふうにして好きになったのか。
“とるにたらないもの”の「朝時間」は、恋とフレンチトースト。
フレンチトーストは幸福そのもの。「それが朝食のための食べ物であり、朝食を共にするほど親しい、大切な人としか食べないものだから」……。
幸福なイメージを呼び起こす言葉は人によって違うから、いろんな人に尋ねてみたい。もっと年をとった時、幸福そのものに思えるものが、少しずつ増えていたら嬉しいです。
*以前ご紹介したおいしい食をめぐるエッセイ『やわらかなレタス』が文庫化されました。
Love, まっこリ〜ナ