今日のカフェボンボンの本棚は、『お食辞解』。
テレビやラジオでもおなじみの言語学者・金田一秀穂先生の食にまつわることばのエッセイ集。「朝ご飯」から「渡辺のジュースの素」まで、170の「お食語」をユーモアたっぷりに解説します。
『お食辞解』
著者:金田一秀穂
出版社:文藝春秋
あさごはん、あんこ、うなぎのかばやき、えんかい、おにぎり……。ア行にはおいしそうなことばがズラリ。
カ行も負けてはいない。かき、きびだんご、くいにげ、げっぺい。なかでも、き【生】は圧倒的な存在感。生一本、生醤油、生酢。たった一文字だけで印象が大きく変わる。
人は「おいしい」を五感で感じる。食べ物の名前もまたおいしさを決める要因となるのだという。
京都のことば「たいたん」もそのひとつ。かぼちゃのたいたん、菜の花のたいたん、油揚げのたいたん。先生がたいたんに抱くイメージは「ぬくもりがあって、可愛らしく、庶民的」。おいしさの感じ方も人それぞれ、本当に奥が深い。
ムシャムシャとパクパクでは、料理のサイズが違う。どちらも健康でなければできないのが共通点。だから、子どもたちがムシャムシャ、パクパク食べている姿を見ると幸せを感じる……。
冬の日に魚の煮こごりを冷めたご飯で食べる幸せ、誰かに栗の皮をむいてあげる幸せ。先生はいくつもの「食語」に幸福な気分を見出していく。
「朝ご飯がおいしい国は、いい国である。」
さまざまな国を旅した先生のこの一言が心に残ります。
Love, まっこリ〜ナ
*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
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