私には何も話してくれないのだと思うと、いきなり奈落の下に落とされたかのように落ち込んだ。
そして、裕也がもしその事実をも分析できていたら、どうしようかと思った。そうであれば、裕也はきっと恋愛に絶望してしまう。
あの4ヶ月前に戻すことはできないのかと。
その夜、久々にコンビニアイスに手をつけてしまった。
裕也にメッセージを送った
「今日もありがとう。シンデレラタイムに眠ってね」
私が裕也にできることが何かはまだはっきりしない。
でも、そばにいて支えたい気持ちをそっと伝えたい、そう思った。
そのメッセージを送ってしばらくスマホを握りしめていたら、紗江からのメッセージが届いた。
胸騒ぎがしながらも、私は、何か覚悟を決めていた。
(この小説は、毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。
結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。
森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。
近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。
遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。
伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。