【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】5章「裸足のままで」Vol.44 本当の強さを

 

vol44

「フォロワーが一気に300とはすごいな」

裕也は何の気なしに励ましてくれる。

そして、あの日ドルフィンでの再開から4ヶ月が過ぎていた。

「かんぱーい!10kg減達成!」

最近裕也とは、2kg減るごとに会ってお祝いをしていた。

裕也と作ったダイエットプランの4ヶ月で8kgの最初の計画を早めに達成できているのは、他でもない、このお祝いの時間が愛おしいから。

「最近は、ポールダンススタジオにいても、恥ずかしくなくなったよ」

という私に、まさかインスタのIDにシンデレラを使うとは思わなかったけど、この調子だったら、シンデレラストーリー達成しそうだな、裕也は茶化すことなく言った。

「なんだか、いつもの調子じゃないのも怖いよ」

と言ってみたけど、裕也はあまり元気がない。

紗江が言っていた、ポジティブとネガティブの話が本当ならば。私だけが調子に乗っているようで、そんな私に、嫌悪感を抱いた。

もしかしたら、紗江との間に何かあったのかもしれない。

私は自分の心の機微を悟られないように尋ねた。

「裕也は、最近どう?仕事は?」

「ぼちぼちかな、特に変わったことはないよ」

裕也は顔色一つ変えずにつぶやいた。

私も支えてもらっているだけで、裕也のことを見ていなかったのかもしれない。

もしかしたら、あの時の紗江と同じように。

(この小説は、毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

この記事を書いた人
Nice to meet you!

朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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