【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】5章「裸足のままで」Vol.42 シンデレラの朝ご飯

 

vol42

ポールダンスをはじめて、全面鏡ばりの中で、私は、大分と自分を見つめる癖がついた。

早くポールの上でキープできるようになりたくて、自主トレにも力が入った。体重は8キロ減、それだけじゃなく確実に引き締まった。

そうして人生で初めて、街で声をかけられ、道ゆく人の目線が確実に変わったことを感じた。

縦のラインを強調するピアスをして、髪の毛をアレンジし、柑橘系の香りをまとうようになった。ファストファッションだけど、ノースリーブスタイルになった。

本当は私、おしゃれが好きだったんだ。

本来の自分を取り戻す上で、好きなことを大切にすることが大事。当たり前のようなことで、好きなことが何かを取り戻すためにも、プロセスが必要だったんだ。

好きなパンづくり。やっぱり朝パンを食べると調子がよくなかったのだけど、グルテンフリーのパンをつくってみたところ、これは案外調子がいい。

グルテンフリーのパンを極めてみよう。

安子のことを思い出して、インスタグラムのアカウントを創ってみた。

Cinderella_breakfast

裕也にバカにされたけど、シンデレラって女の子の憧れだから。それに、私はロマンチストだ。

グルテンフリーのパンのレシピとともに撮った写真は、マゼンダが強くでるようにフィルタをかけるといいみたい。写真にも工夫を加えながらアップロードした。

裕也は、興味もないだろうに、反応してくれる。女子になりすまして。

(この小説は、毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

この記事を書いた人
Nice to meet you!

朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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