【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】2章「欲望の先に」Vol.13 人は変われる

 

vol13

おやつタイムに配ったパンは大好評で、少し距離を感じていた直属の弁理士で40代半ばの伊藤さんも「いい趣味だね」なんて言ってくれた。

最近は、私の不備で、クライアントへの書類を再送しなくてはならないことが2度もあった。すぐに気付いて対処したので、クライアントも怒ってはいなかったが、伊藤さんは、顔色変えずに「了解」としか言わないから怖い。

注意をしないのは、私がオーバー30の女子だからだと考え、扱いにくい年齢になってしまったと凹む。

話しかけづらくなり、ミスをする。このダメサイクルを繰り返した。人の感情を深読みしすぎていつもストレスを溜めるのが私の悪い癖だ。

他のアシスタントとも、好きなパン屋さんの話になったりして、あっと言う間におやつタイムが過ぎた。

パン屋の話は、ダイエット中には辛いが・・・それでも、職場に居場所ができるのは嬉しい。おしゃべりできれば、何も食べずにいられる、それも気付きだった。

明日からみんなに一杯のおいしい紅茶か珈琲を入れよう。自分が食べる時間をおもてなしの時間に変えればいいだけのことだ。

裕也に報告すると、満面の笑みのスタンプが送られて来た。私も微笑み返す。

ダイエットは楽しいことなのかも!

もろくもその夜、順調だったダイエットの波が乱されることになる。

「肉よ、肉!」

隣に豪快にステーキを頬張る由加利。私たちは、六本木のステーキハウスにいた。

 

(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)

 

【オススメ記事】パンマニア片山智香子のおいしいパン屋ガイド

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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