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心に残る詩集③『おんなのことば』

 

今日のカフェボンボンは、茨木のり子の詩詞集『おんなのことば』

「自分の感受性くらい」「わたしが一番きれいだったとき」「見えない配達夫」「落ちこぼれ」「食卓に珈琲の匂い流れ」など、名詩35編を収めた珠玉のアンソロジーです。小さく愛らしい、ポケット判の詩集です。ぜひ、お手にとってみてください。

20130314

おんなのことば
著者:茨木のり子
出版社:童話屋

どこかしんとした静けさを持つ人がいる。そんな人に出会うとこの詩を思い出す。

田沢湖のように深く青い湖を
かくし持っているひとは
話すとわかる 二言 三言で

それこそ しいんと落ち着いて
容易に増えも減りもしない自分の湖
さらさらと他人の降りてはゆけない魔の湖

「みずうみ」の一節です。人の本質に触れた、深い深い言葉です。茨木さんの詩は、生身の人間のありよう、心の奥を映し出します。

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて(「自分の感受性くらい」より)

それは、自分がいちばんわかっていたことなのに、目をそむけていたくて。でも、いったん心に問いかけてみたらもう怖くはない。潔い言葉が背中をそっと押してくれる。

この詩集の「朝時間」は、人を慈しむ、愛にあふれた詩「子供時代」の一節より。

その人の子供時代に思いを馳せるのは
すでに
好意をもったしるし

Love, まっこリ〜ナ

 

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Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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