朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、本当に大切なことに気づかせてくれる本。
人気作家・津村記久子さんの小説から2冊を選びました。休日や夏休みの読書にもオススメです。人生に迷った時、立ち止まってしまった時、日々を振り返るなかで、一冊の本が本当に大切なことに気づくきっかけになるかもしれません。
誠実に生きるということ

『水車小屋のネネ』
著者:津村記久子
出版社:毎日新聞出版
理佐と律という名前の姉妹を主人公に40年にわたる物語を描いた、心に深くしみる小説です。
1981年、理佐18歳、律が8歳の時、姉妹は家を出て山深いのどかな町でふたりだけの暮らしを始めることになる。物語の舞台となるのは水車小屋のあるおそば屋さん。そこで姉妹は「ネネ」という不思議な鳥と出会います。
そば屋を営む夫婦をはじめ、町の人たちがどのように姉妹を見守り関わっていくのか。みながお互いを気づかい思いやる。心配し心配されること、それが当たり前のことなのだと感じます。姉妹の生活に最初に飛び込んでくるのはネネ。ふたりだけの小さな世界は年月をかけてゆっくりと、外に向かって開いていきます。
背景にさまざまな映画や音楽が登場するのも物語の魅力的なところ。私の大好きな映画も出てきてグッときました。姉妹が休日を過ごすシーンもとても好き。ある日、理佐は律を連れて「地元の駅からいちばん近い急行が停まる駅」に出かけていきます。ふたりは映画を観たあと、書店に寄ったり、喫茶店でクリームソーダを飲んだりする。日常がきらきら輝く場面を何度も読み返したくなります。
幅広い世代の人が楽しめる小説です。物語のパワーを感じる一冊をぜひどうぞ。
人生で一番大切な事は?

『ミュージック・ブレス・ユー!!』
著者:津村記久子
出版社:KADOKAWA
大阪を舞台にした青春小説。主人公は朝から晩まで音楽を聴いている高校3年生のアザミ。ある日、自分がベースを担当するバンドが練習中のもめごとで解散してしまい……。
アザミは髪を赤く染めて、カラフルな歯列矯正器をつけている。ヘッドホンをほとんど頭から離したことがないほどいつでも音楽を聴いている。物語の最初からもう、アザミと出会った瞬間に、彼女のことがとても好きになってしまう。
追試や補講、受験や将来のこと、友だちとの関係も、なんでも思いどおりになんていかない。それでも、ヘッドホンをつけて音楽に浸っていると、自分が自分でなくなることができる。何もかもうまくいかない時も、音楽を聴けば、その何分間だけは息を吹き返すことができるというアザミ。彼女の不器用さが愛おしくてせつなくて、いくつものシーンがじわーっと心にしみてくる。そして、物語の根底にずっと音楽が流れていて、お腹にズンズン響いてきます。
モヤモヤする時に、こんなんでいいのかなあなんて思ってしまう時にオススメしたい本。これさえあれば自分が生きていけるものってなんだろう。人生で一番大切なものに気づきます。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
*『水車小屋のネネ』
*『ミュージック・ブレス・ユー!!』
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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