朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、眠れない夜の読書リスト。
蒸し暑い夜が続いています。そんな夜には、『つむじ風食堂の夜』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』などで知られる吉田篤弘さんの作品をいかがでしょう。穏やかな気持ちにしてくれる2冊を選びました。寝苦しい夜、眠れない夜にぜひ。
『おやすみ、東京』
著者:吉田篤弘
出版社:角川春樹事務所
東京の街を舞台にした長編小説、穏やかで心地よい物語です。
おやすみ、東京。この優しさあふれる一言が、そっと心を包み込む。月に語りかけられたような気がして、夜空を見上げたくなります。
物語の始まりは、東京の午前一時。「時計が一時を打った」「時計がきっかり一時になった」「古びた時計が午前一時を指していた」……。映画撮影所、電話相談室、古道具屋、食堂。さまざまな場所で、この時間に眠らずに働く人たちがいて、ある日どこかですれ違ったり出会ったりする。その人たちをつなぐ役目を果たすのは、夕方から早朝までを専門とするタクシー会社のドライバー。東京じゅうを縦横無尽に走るタクシーが彼らを乗せて、いくつもの夜を越えていきます。
魅力的な場所がたくさん出てくるのですが、私がとくに心惹かれるのは、十字路の一角にある食堂、四人の女性が営む〈よつかど〉です。料理の手をふと止めて女性たちが外を見る。それは「夜の終わりの、東京がいちばん静かになるひとときだった」——。そんなシーンが好きです。登場人物の誰と誰に不思議な縁があるのか、月の光に照らされて美しく重なり合う物語をお楽しみください。東京の街に愛を込めて。
『金曜日の本』
著者:吉田篤弘
出版社:中央公論新社
本が大好きだった子どもの頃の思い出や本をめぐる愉しみをつづった一冊です。
土曜日の学校帰り「僕」はひとりで森の中の図書館に行き、面白そうな本を探して過ごした。ある日、ドイツから転校してきた友だちが見せてくれた一冊の本に魅了された。ドイツ語で書かれた本は読めなかったけれど「その本には僕の好きな銅版画がはいっていた」——。
子どもの頃の僕と本との出会いのシーンは、当時の東京の町の醸し出す気配も相まって、ミステリアスで不思議な物語のはじまりのよう。森の図書館や学校の図書室で、著者は本の語る静かな声に耳を澄ませ、物語の扉を開いていきます。
ひとりで本を読んで過ごした日々、友だちと遊んだ放課後の思い出、風変わりなおじさんたちのこと。『金曜日の本』に描かれたエピソードのひとつひとつに、優しくてあたたかな時間が流れています。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
*『おやすみ、東京』
*『金曜日の本』
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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