朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『おやすみ、東京』。
東京の街を舞台にした長編小説を。『つむじ風食堂の夜』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』などの作品で知られる吉田篤弘の穏やかで心地よい物語です。眠れない夜や人恋しい夜に手にとってみてください。
『おやすみ、東京』
著者:吉田篤弘
出版社:角川春樹事務所
おやすみ、東京。この優しさあふれる一言が、そっと心を包み込む。月に語りかけられたような気がして、夜空を見上げたくなります。
物語の始まりは、東京の午前一時。「時計が一時を打った」「時計がきっかり一時になった」「古びた時計が午前一時を指していた」……。映画撮影所、電話相談室、古道具屋、食堂。さまざまな場所で、この時間に眠らずに働く人たちがいて、ある日どこかですれ違ったり出会ったりする。その人たちをつなぐ役目を果たすのは、夕方から早朝までを専門とするタクシー会社のドライバー。東京じゅうを縦横無尽に走るタクシーが彼らを乗せて、いくつもの夜を越えていきます。
魅力的な場所がたくさん出てくるのですが、私がとくに心惹かれるのは、十字路の一角にある食堂、四人の女性が営む〈よつかど〉です。料理の手をふと止めて女性たちが外を見る。それは「夜の終わりの、東京がいちばん静かになるひとときだった」——。そんなシーンが好きです。
登場人物の誰と誰に不思議な縁があるのか、月の光に照らされて美しく重なり合う物語をお楽しみください。東京の街に愛を込めて。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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