朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、海外サスペンス小説。
年末年始、冬休みにオスススメの本をセレクトしました。寄宿学校や荒野の屋敷を舞台にしたミステリアスな3冊です。思わず時間を忘れて読書に没頭する極上のひとときをぜひ。
『ピクニック・アット・ハンギングロック』
著者:ジョーン・リンジー/訳:井上里
出版社:東京創元社
カルト的な人気を誇るという映画『ピクニック at ハンギングロック』の原作小説。オーストラリアの寄宿女学校を舞台に描くサスペンスです。
夏のオーストラリア、バレンタインデーの日に事件は起こる。寄宿女学校アップルヤード学院の生徒たちが岩山のふもとにピクニックに出かけ、そのなかの数人が行方不明になってしまう。楽しいピクニックの最中に、大自然のなかへと忽然と消えてしまった少女たち。いったい彼女たちに何が起こったのか。
誰からも愛されていた美しい少女たちの不在は、学院の生徒たちや教師らの心をかき乱し、平穏だった日常に徐々に亀裂が入っていきます。確かだと思えたものもじつは全く不確かで幻でしかないのかもしれない。幸せに満ちた毎日も人と人とのつながりも。
得体の知れない不気味さ、邪悪な気配に恐れを感じつつも、少女たちを巡る危うく甘美な世界に引き込まれ、気づけばすっかり物語の虜になってしまいます。
『原野の館』
著者:ダフネ・デュ・モーリア/訳:務台夏子
出版社:東京創元社
『レベッカ』「鳥」などの作品で知られるダフネ・デュ・モーリアが、イギリスの荒野の屋敷を舞台に描いた小説です。冒頭から一気に引きこまれます。
ヒロインのメアリーがたったひとり向かう先は、コーンウォールの原野に立つ家「ジャマイカ館」。母を亡くし慣れ親しんだ自分の農場を離れ、叔母が暮らす屋敷に身を寄せることになったのです。「わたしの叔父はジャマイカ館の主人なんです」。メアリーが乗合馬車の御者に伝えると、あそこはおかしな噂がある、真っ当な人間はあそこにはいかないと言われてしまいます。みんなが館を避ける理由は「怖いからさ」。この一言がすべてを象徴しているようで、恐ろしい想像がふくれあがります。
御者の言葉どおり、屋敷は荒れ果て邪悪な気配に満ち、荒くれ者の叔父はいかにも怪しげです。原野の住人たちに囁かれる「おかしな噂」どころではない秘密とはいったい……。
館をめぐる人物たちの個性が際立ちます。なんといってもヒロインのメアリーが素晴らしく魅力的に描かれています。恐ろしい出来事にも怯まず、勇気を奮い立たせ、待ち受ける運命を切り拓こうとする女性に心を奪われます。
『アリスが語らないことは』
著者:ピーター・スワンソン/訳:務台夏子
出版社:東京創元社
『アリスが語らないことは』という意味深なタイトルも、表紙カバーの海岸の家も、不穏な空気に満ちている。底知れない不安がわきあがってくるような。
舞台はアメリカのメイン州、海辺の町。大学卒業間近の若者ハリーは、父親のビリーが事故死したと知らされる。連絡をしてきたのは継母のアリス。ビリーは海岸の散歩途中に転落したという。すぐに実家に戻ったハリーは、悲しみにくれるアリスと再会、若く美しい彼女に心が乱されてしまう。さらに父の事故死に不審な点が見つかって……。
ここからハリーの真相追及が始まるかと思いきや、物語は一気に継母のアリスの過去へ。アリスを取り巻く人々、ビリーのまわりの人々、ハリー自身も含め、登場人物たちは相当クセのある者たちばかり。読み出したら止められない怒涛の展開が待っています。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
*『ピクニック・アット・ハンギングロック』
*『原野の館』
*『アリスが語らないことは』
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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