おはようございます。ファイナンシャルプランナーの稲村優貴子です。
この連載では、『朝のスキマ時間に学ぶ♪家計管理・お金の基本』というテーマで、お金にまつわるコラムをお届けします。
ドラッグストアで薬を買っても税金を安くする方法
残暑が厳しいなか、台風のニュースも増えてきました。この時期は夏の疲れが出やすいこともあり、体調管理がますます大変になりますね。
体調を崩して病院で診察を受けようと思っても、熱があると予約以外は受け付けてもらえないことも。そういう時に頼りになるのが、ドラッグストアです。
忙しくて病院に行く時間がない人も、ドラッグストアで市販薬を買って体を休めることが多いのではないでしょうか。
病院代と交通費なども含め10万円を超えると「医療費控除」が受けられるため、確定申告をすれば税金が戻ってきます。
病院に行かずに市販薬を購入した場合は、この医療費控除の対象外となりますが、実は市販の薬代でも医療費控除の特例として所得控除制度が受けられるんですよ。
今日は、このしくみについて解説します。
医療費控除をおさらいしよう
所得税・住民税は、「課税所得」とよばれる税金を計算するためのベースになる金額に税率をかけて計算します。
その年の1月1日から12月31日までの医療費が10万円を超えた場合、その超えた金額が課税所得から控除されることを「医療費控除」といいます。
この医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」(特定の医薬品購入額の所得控除制度)があります。
これは、対象となる市販薬(スイッチOTC医薬品)の購入額が1万2,000円を超えるときに、超える部分の金額について所得控除を受けられるというものです。
例えば、課税所得が190万円の場合、所得税と住民税は、190万円×15%=28万5,000円。1年間の対象市販薬の購入額が4万2,000円だった場合、1万2,000円を超えた金額である3万円が控除対象となり、「課税所得」を3万円少なくしてもらえます。
先程の計算式に当てはめると、(190万円-3万円)×15%=27万7,500円となり、4,500円税金が安くなります。
※税率15%=所得税5%、住民税10%
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は?
この税制の対象となる医薬品(スイッチOTC医薬品)は、かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫用薬、肩こり腰痛等の貼付薬です。
ただし、すべてが対象となるわけではなく、対象となる薬にはパッケージの箱に「セルフメディケーション税控除対象」というマークがついているものに限られます。
レシートに対象となる薬に印がつけられるので、そのレシートを保存しておき確定申告すると、税金の還付が受けられます。
どうすれば還付が受けられる?
1月1日から12月31日までの購入額で計算するため、対象となる薬を購入した際のレシートをまとめて、保管しておきましょう。
年末までに1万2,000円を超える金額になったら、忘れずに確定申告をして税金を還付してもらうことをおすすめします。確定申告はネットでも簡単にできますので、スイッチOTC医薬品を多く購入する方はぜひトライしてみてください。
(参考:厚生労働省ホームページ「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」)