もうすぐ新シーズンがスタートしますが、夜更かしが習慣になっている人は、今のうちに改善を! 夜更かしは睡眠不足の原因になるだけでなく、睡眠の質を低下させ、体調不良の大きな原因に。夜型から朝型に生活を変えるのは、体内時計を調整する必要があり、思っている以上に時間がかかります。整えないまま4月を迎えてしまうと負担がたまり、五月病などの原因になったり、朝起きられなくてドロップアウト…なんてことにもなりかねないので気をつけて!
私たちの体は夜更かししやすくできている
私たちの体には体内時計が備わっていて、その時計が刻む生体リズムに従ってさまざまな体の機能が動いています。生体リズムには1ヵ月のリズム、1週間のリズム、1日のリズム、半日のリズムなどいろいろな長さがありますが、睡眠覚醒リズムも深部体温(内臓の体温)のリズムも1日のリズムに一致しています。
でも、機械時計とは違ってぴったり24時間ではなく、24時間よりやや長い周期を刻んでいる人が多い(人によって24±4時間の差がある)と言われています。つまり、人はもともと夜更かししやすい傾向があると言えるのですが、そうならずに、24時間で生活できるのは、太陽の光や社会的な生活時間が刺激となり、体内時計を毎日リセットしているからです。
それを証明する実験を行った研究者がいます。学生を対象に、太陽の光が入らず、外界の時間もわからない恒常的な部屋で自由に何日間か過ごしてもらったところ、寝起きする時間も深部体温のリズムも1日に1時間程度後ろにずれる(25時間で動く)という現象が見られました。さらに、そのまま1ヵ月程度過ごしてもらったところ、深部体温リズムは約25時間周期をキープしていたのに対し、睡眠覚醒リズムは33時間周期にのび、体調不良を訴えるようになったそうです。
体内時計の乱れは不調の大きな原因になる
通常、深部体温は目覚めの少し前から高くなり、夕方に最高値となり、夜に向けて下がり始め、夜中にもっとも低くなるというリズムを刻んでいます。不思議なことに、人は、深部体温が低くなると眠りやすくなり、高くなると活動しやすくなる特性があるため、深部体温リズムと睡眠覚醒リズムがずれてしまうと、寝たいのに体温が高くて眠れない、起きるべく時間なのに体温がまだ低くて起きられないという現象が起きてしまいます。
このように各生体リズムがバラバラになってしまうことを専門用語で内的脱同調といいますが、夜更かしや不規則な生活を続けていると、体内時計が乱れ、さまざまな生体リズムが脱同調を起こし、眠りの質が低下するだけでなく、体がだるい、思うように体が動かない、食欲や意欲が減退する、集中力が続かないといった状態になってしまうのです。
自分の自然なリズムで寝起きしていたのに不調が出てしまうなんて不思議なことですが、私たちの体は、長い歴史の中で、地球の動き(太陽の光)や社会的な生活時間と同調するようにプログラムされており、その刺激によって体内時計がリセットされ、体のあらゆる機能が効率よく働くようにできていると言えます。
起床時間を一定にし、朝は太陽の光を!
日中、しっかり活動できる万全な体を保つには、睡眠時間を確保するだけでなく、毎朝同じ時間に起きて太陽の光をしっかりと浴びて、体内時計をリセットすることが欠かせません。光は体内時計をリセットするもっとも大きな要素で、朝強い光を浴びると、本来24時間より長い生体リズムが1時間程度短くなり、地球時間の24時間に調整されると考えられています。
それなら、今まで夜更かししていても、会社が始まる朝から気をつければ簡単じゃない! と思われるかもしれませんが、今お話したように、1日に調整できるのは1時間程度ですし、体内時計は夜(通常、夜7~9時に体温がもっとも高くなりますが、その後に明るい光を浴びると、今度は1時間長くなってしまうという特性があるので、夜更かしを直さない限り、いつまで経っても体内時計は調整されないという状態に。
起床時間、就寝時間が2時間ずれれば、簡単に睡眠覚醒リズムは乱れてしまうと言われ、1時間のずれをしっかり修正するのにも1週間程度かかると言われています。そのため、今までの生活時間が2時間以上違う人は、それだけ時間がかかるということですし、その間、極力規則正しい生活を心がけ、朝は明るく、夜は暗くというメリハリのある生活を実行しなければなりません。
でも、新シーズンは何かと忙しく、慣れない生活でストレスも溜まりがち。平日は夜更かしが続き、疲れているのに金曜の夜は遅くまで飲み会、土日の朝はお昼まで朝寝坊。そんな生活をしてしまうと体内時計は逆戻り。いつまでたっても調整できず、とうとう朝遅刻してしまった。体調が悪くなってしまった。なんてことになりかねません。今のうちにしっかり体内時計を朝型に切り替え、気持ちよく新シーズンを迎えましょう!