男性より女性のほうが睡眠不足
日本人は睡眠時間が短いといわれていますが、ある研究者が世界24カ国の大学生を対象に行った調査では、そういわれる通り、日本は男女とも「睡眠時間の短さランキング」1位に。
さらに、2005年NHK放送文化研究所が行なった日本国内の国民生活時間調査によると、もっとも睡眠時間が短かったのは大学生ではなく、40代女性で、平日の平均睡眠時間は6時間43分(同世代男性は7時間6分)。男性の中でもっとも睡眠時間が短かった30代男性よりも短いという結果が出ています。
先ほどお話した大学生の国際調査では、「自覚的な不健康度」(体調が悪いと自覚がある人)についても聞いていますが、これもまた日本の大学生は男女とも1位に。眠りを疎かにしていることで体調を崩しかけている。そんな姿が浮き彫りになったと言えるのかもしれません。
仕事とライフスタイルの見直しを
何故、日本人は睡眠不足になるのか。その理由はみなさんの暮らしを振り返ればわかるはずですが、いくつかを上げてみましょう。(1)~(3)は男女共通ですが(4)~(6)は女性に関わるものです。
(1)労働時間/男性の平均労働時間は以前から長いものの、最近はほぼ横ばい。その一方、女性の労働時間は顕著に長くなっています。
(2)夜型生活/夜10時代に眠る人の割合は年々少なくなっています。
(3)ストレス…ストレスは眠りの妨げに。自律神経やホルモンにも影響を与え、さらにお酒に走るなど、睡眠にとって2次的なマイナス要因へとつながる危険も。
(4)家事・育児・介護/未だ日本ではこれらが女性の仕事とされているため、家族を持つと女性の睡眠時間は一気に減ります。
(5)身支度の時間/メイクやおしゃれをする時間など、女性は身支度に何かと時間がかかります。
(6)女性ホルモンの影響/月経、妊娠、出産、更年期など、女性はライフステージによって性ホルモンの影響を受け、眠りにくくなります。
労働時間については、自分ではなかなかコントロールしにくいものですが、長時間労働は作業効率の低下や事故のリスクを高めますし、睡眠時間が短くなれば、健康度が低下することが予期できます。つまり、日本の将来が危ないということになるので、眠りの重要性を自覚し(とくに女性は)、オーバーワークのない社会をつくっていくことが急務だと言えるでしょう。日本は少子高齢化が進み、今のような不況が続くと一人当たりの労働ノルマが増えてしまう可能性があります。今までは何とか我慢してやってきたかもしれませんが、他の調査では食事時間さえ短くなっていると報告されています。つまり、生活習慣を見直すのはすでに限界に近く、これ以上仕事に侵食されると、人は、自分らしい生活を持たない不眠ロボットになってしまいます。それでは健康を害してしまうだけでなく、生活が空虚なものになってしまいます。
(2)~(5)については生活を朝型にする、作業を分担する、心の問題を誰かに相談する、生活習慣を変えてみるなど、人とのコミュニケーションを基本に意識を変えれば軽減できる可能性があります。一人ですべてを抱えずに、ぜひ改革を!
また、(6)についてはかかりつけの婦人科医を持つことがおすすめ。睡眠、体温、ホルモンのリズムは互いに影響しあってしまうので、どれか1つが乱れると他の2つも悪くなってしまう可能性があるので、少しでも不調がある人は、早めに相談を!