玉ねぎは、カリウムやビタミンB1などの栄養価が高く、さまざまな料理に使える優れた食材。
煮る・焼くといった調理方法だけでなく、サラダやマリネなどで生で美味しく食べられることも、玉ねぎの魅力です。
そんな使い勝手のよい玉ねぎですが、「生では辛味が強すぎて食べづらい…」と感じたことはありませんか?
そこで今回は、玉ねぎの辛味を抜く方法とおすすめのレシピを合わせてご紹介します!
玉ねぎが辛い理由は「硫化アリル」
玉ねぎが辛く感じるのは「硫化アリル」という成分が原因です。「アリシン」とも呼ばれており、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
日本のスーパーで一年中見かける玉ねぎは、収穫後に乾燥してから出荷される「黄玉ねぎ」という品種で、とくに辛味が強いことが特徴です。
ただし、春になってスーパーに登場する「新玉ねぎ」については、収穫後に乾燥せず、すぐ出荷されるため、同じ黄玉ねぎでも辛味が少なく食べやすくなっています。
参考:農林水産省「新たまねぎと普通のたまねぎとは品種が違うのですか。」
辛味成分と一緒に栄養素が抜け落ちる場合も
辛味成分であるアリシンには、殺菌作用・疲労回復・血液をサラサラにする・ガン予防・抗酸化作用など、健康を保つためのうれしい効果が期待できます。
また、コレステロール値や血糖値の上昇を抑えてくれるため、生活習慣病の予防にも効果的と言われていますよ。
さまざまな効果が期待できるアリシンですが、熱に弱く、水に溶けやすい性質を持っています。切った玉ねぎを水にさらすと辛みが和らぐのは、辛味成分であるアリシンが水に溶け出てしまうから。
つまり、水にさらすことで玉ねぎの辛味は取り除けますが、アリシンが持つ栄養素も一緒に抜け落ちてしまうということになります。
玉ねぎの辛味と食感は「切り方」で変わる
玉ねぎは「切り方」によって辛味や食感が変わります。
繊維に沿って切ればシャキシャキとした食感が残り、玉ねぎの独特な辛味を楽しめます。
辛味を抑えて調理したい場合には、半分に切った玉ねぎの平らな面を下にして置き、玉ねぎの繊維を断ち切るように薄くスライスするとよいでしょう。
よく研がれた包丁で、玉ねぎの組織を傷つけないようにそっと切ることがポイントです。そうすることでやわらかい食感になり、辛さも抑えられます。
「熱の力」で玉ねぎの辛み抜きをする方法2つ
「玉ねぎの栄養成分をしっかり摂りたい!」
「とにかく手軽に、短時間で辛味を抜きたい!」
という方には、熱の力でしっかり辛味を抜く方法がおすすめです。
熱を加えて玉ねぎの辛味を抜く方法は、以下の2つがあげられます。
【1】レンジで1分加熱する
玉ねぎをスライスしてから耐熱容器に入れて、レンジで1分程加熱します。加熱した玉ねぎを水でよくすすぎ、最後にキッチンペーパーで水気を拭き取れば完成です。
とても簡単に辛味を抜ける方法ですが、注意ポイントは加熱時間。加熱し過ぎると玉ねぎが柔らかくなってしまい、食感が損なわれます。
また、アリシンは熱に弱いため、加熱をすると栄養成分が減少してしまいます。加熱時間は長すぎないようにしましょう。
レンジを使用する方法
- メリット:簡単・手が汚れない、しっかり辛味を抜ける
- デメリット:食感がやわらかくなる、サラダには不向き
- ポイント:加熱のし過ぎは食感と栄養成分が損なわれるので、レンジの加熱時間を長くしすぎない
【2】熱湯をかける
氷水と沸騰したお湯を用意します。薄くスライスした玉ねぎをザルに入れて、その上から沸騰したお湯をかけます。
玉ねぎにまんべんなくお湯がかかったら、用意した氷水にザルごと入れて、手で触れて熱くない程度まで冷やしましょう。最後にしっかり水分を絞ったら完成です。
シャキシャキとした食感を残すために、お湯にさらす時間は1分までを目安にしてください。辛味が抜けて、生の玉ねぎに近い食感に仕上がります。
熱湯をかける方法
- メリット:シャキシャキした食感が残る、しっかり辛味を抜ける、生で食べられる
- デメリット:お湯や氷水でさらしすぎると栄養成分が抜ける、食感も損なわれる
- ポイント:氷水で冷やした後、しっかり水気を取る
水で玉ねぎの辛み抜きをする方法
玉ねぎの辛味を水でさらして抜くと、シャキシャキの食感に仕上がる・辛味やえぐみを抜ける・変色を防ぐ・生で食べられる・などのメリットがあります。
この章では、レシピサイトなどでもよく見かける水を使った辛味抜きの方法を3つご紹介しましょう。
【1】酢水にさらす
ボウルにたっぷりの水と、軽くひと回しするくらいの量のお酢を入れます。そこに薄くスライスした玉ねぎを入れ、10分程さらします。最後に水気をよく切って完成です。
シャキシャキの食感はそのままに、辛味が抑えられます。そのまま食べるとお酢の香りが玉ねぎに残っているため、苦手な方はドレッシングが必要です。
お酢を活用した方法
- メリット:シャキシャキした食感が残る、しっかり辛味を抜ける、生で食べられる
- デメリット:水にさらす時間が必要・玉ねぎにお酢の香りが残る。栄養成分が抜け落ちる
- ポイント:お酢が苦手な方は、酸味のマイルドなお酢がおすすめ
【2】砂糖で揉み込んで水で洗う
スライスした玉ねぎをボウルに入れます。多めの砂糖(玉ねぎが隠れる位の量)を上からまぶして、よく揉みこみます。
玉ねぎがしんなりするまで放置して、水分やぬめりが出てきたら水でよく洗います。最後に水気をしっかり絞って完成です。
シャキシャキの食感は残り、塩で揉むよりも辛味を抑えられます。玉ねぎを砂糖で揉みこんだ後10分程水にさらすと、より辛味が抜けやすくなります。
砂糖を使用する方法
- メリット:生の玉ねぎ程ではないが、シャキシャキの食感が残る。塩より辛味が抜ける
- デメリット:放置する時間や、水にさらす時間がかかる。栄養成分が抜け落ちる
- ポイント:塩が無い時に代用できる
【3】塩でもみ込んで水で洗う
まな板やボウルにキッチンペーパーを敷いて、薄くスライスした玉ねぎをのせて、玉ねぎ1個に対して小さじ1/2程度の塩を振ります。キッチンペーパーで包んでよく揉み、ザルなどに入れて出てきた粘りを水で洗い、しっかり絞ったら完成です。
玉ねぎに塩味が付いて、しんなりとした見た目になります。塩揉みのあとで氷水にさらすと、シャキッとした食感に戻ります。
玉ねぎを揉むと水分が出てくるので、ボウルやポリ袋に入れて揉むより、キッチンペーパーや手ぬぐいで包んで揉むのがおすすめ。かなり辛味が強い玉ねぎの場合は、軽く揉んだ後、包んだまま数分置いて水洗いしてもよいでしょう。
塩を使用する方法
- メリット:見た目よりシャキッとした食感が残る、辛味が抜ける
- デメリット:玉ねぎに塩味がつく、氷水にさらす時間がかかる
- ポイント:キッチンペーパーや手ぬぐいで包む
空気にさらして玉ねぎの辛味抜きをする方法
レシピサイトなどでもよく見かけるのが、切ってそのまま水にさらさずに置いておいて辛味を取る方法です。
玉ねぎを薄くスライスして、バットや皿に広げます。15分程空気にさらせば完成。水にさらしたり、洗い流したりすることがないので、栄養成分が抜けてしまうことを防げます。
スライスした面が空気に触れるほど辛味が抜けやすくなるので、玉ねぎ同士がくっつかないように、広げて置くのがポイントです。
ただし、短時間放置するだけでは辛味を十分に取り除けません。
辛味を十分に取り除きたい場合は、直射日光が当たらない涼しい場所で1~2時間程空気にさらしたり、ラップをかけて冷蔵庫で1時間程冷やすなど、時間をかけて空気にさらしてみましょう。
空気にさらす方法
- メリット:栄養成分を損なうことなく、そのまま摂取できる
- デメリット:辛味が残る、玉ねぎの香りが部屋や冷蔵庫に充満する
- ポイント:空気にさらす時間を長くする、新玉ねぎを使う
辛味抜きするか辛味を抑えた玉ねぎのおすすめレシピ6選
玉ねぎは、そのままでも美味しく食べられるのが魅力です。しっかりと辛味が抜かれた玉ねぎは、サラダやマリネなどの食感のアクセントにもなります。
今回は、辛味が抜けて美味しく頂ける玉ねぎのレシピを4つご紹介します。あわせて、辛味抜きしなくても辛味を和らげられるレシピも2つご紹介します。短時間でできるので、朝ごはんや、夜ごはんの副菜などにもおすすめですよ。
【1】レンジで時短辛味抜き!「玉ねぎのマリネ」
夕食の副菜やおつまみなどにぴったりなレシピです。薄くスライスした玉ねぎをレンジで2分加熱し、水にさらしてしぼります。
オーブンで焼いたベーコンと、甘酢と塩こしょうで和えて完成です。おなかにも優しいので、子どもからシニアの方まで美味しく頂けます。
(レンジ+トースター、ベーコン入り玉ねぎマリネ by えつこさん)
【2】水にさらして辛味抜き!「大人のポテトサラダ」
玉ねぎのシャキシャキとした食感が効いた、大人のポテトサラダです。
食材は、じゃがいもと鶏ささみと玉ねぎだけ。ヨーグルト・粒マスタード・塩で作ったソースに、スライスして水にさらした玉ねぎと、火を通したささみと、ゆでたじゃがいもを一緒に混ぜれば完成です。
マスターのピリッとした味付けは、お酒にもぴったりです。
(ヘルシー★大人のポテトサラダ by さちくっかりーさん)
【3】塩もみで辛味抜き!「コールスロー」
野菜たっぷり、さっぱり味のコールスローのレシピです。玉ねぎ・人参・キャベツを千切りにし、重石をのせて水出しをします。オリーブオイル・酢・こしょう・昆布茶・マスタードなどを加えて、よく混ぜれば完成です。サンドイッチの具材に入れても美味しそうですね。
(Cole Slow by jyogsyaさん)
【4】水にさらして辛味抜き!「サーモンのサラダ」
シャキシャキとした玉ねぎとじゃがいもの食感を楽しめる料理です。
じゃがいもと玉ねぎは薄くスライスして、水にさらしておきます。スモークサーモンと和えて、オリーブオイルと塩を振って完成です。
玉ねぎはサーモンとの相性もよく、さっぱりと頂けます。
(サーモンのシャキシャキじゃが玉サラダ by 岸田夕子(勇気凛りん)さん)
【5】玉ねぎの辛味を生かす!「冷製トマトそうめんパスタ」
暑い時期にぴったりの、そうめんで作る冷製トマトパスタです。玉ねぎの辛味をアクセントに利かせたトマトソースで、蒸し暑い夏の朝でもさわやかに頂けます。
ざく切りにしたトマトと玉ねぎを、バルサミコ酢・塩・砂糖・オリーブオイルと一緒にミキサーで混ぜます。塩こしょうで味を調えて、冷蔵庫で冷やしたら、トマトソースのできあがり。
そうめんを茹でて氷水でしっかりと締めて、冷やしたトマトソースをかければ完成です。
(素麺deトマトの冷製パスタ by 月 草さん)
【6】シンプルなドレッシングが決め手!「トマトと玉ねぎのサラダ」
とっても簡単!手作りのドレッシングと和えるだけの超時短レシピです。あと一品ほしいときや、ちょっとしたおつまみにぴったり。ハチミツが入っているので、辛くなりすぎず、食べやすいのが特徴です。
玉ねぎをみじん切りにして、ハチミツ・お酢・塩・こしょう・オリーブオイルとよく混ぜます。好きな大きさに切ったトマトにかければ完成です。
(トマトのシンプルサラダ by イクコさん)
玉ねぎの取り扱いを知って料理をマスターしよう
玉ねぎは、料理の主役も脇役も、そつなくこなしてくれる身近な食材です。栄養成分も豊富なので、しっかりと食事で摂り入れたいですよね。
料理に合った方法で辛味を抜き、栄養たっぷりで美味しい玉ねぎ料理を楽しみませんか。