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幸せなママになりたいのに…二人の妊婦の秘密を描く小説『誠実な嘘』

 

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『誠実な嘘』

舞台はロンドン、妊娠中の二人の女性の運命が絡み合う。赤ちゃんを産んで幸せなママになりたいだけなのに……。英国推理作家協会ゴールド・ダガー賞受賞作家が描くサイコ・スリラー小説、新刊です。


誠実な嘘
著者:マイケル・ロボサム/訳:田辺 千幸
出版社:二見書房

「予定日はいつですか?」アガサがメグに尋ねた一言がきっかけだった。妊娠中の二人の女性が出会って、やがてカフェでお茶を飲むまでになる。

アガサとメグは生い立ちも今の環境も対照的。苦労人のアガサは、幸せそうな家庭を築いている同年代のメグに憧れています。職場のスーパーマーケットから、メグがママ友たちとカフェにいるのをじっと見たりしています。「メグはまた妊娠していて、あたしもお腹に赤ちゃんがいるから、これ以上ないほどわくわくしている」。こんな気持ちを抱きながら。

「メグとあたしは友だちになるだろう。そしてあたしはメグのようになる。素晴らしい家庭を築いて、夫を幸せにする。ヨガのレッスンを受けて、レシピを交換して、毎週金曜日にはママ友グループとコーヒーを飲みながら語り合うのだ」。メグと言葉を交わしたアガサはこう確信します。メグへの強い執着を強く感じるアガサの思いにゾクリとする。

じつはメグのブログをアガサが読んでいることもわかってきます。二人の出産予定日がほとんど同じなのも気になってなんとなくいやな予感がします。もうすぐママになろうとしている彼女たち、秘密を抱える二人の運命は果たして……?

小説の舞台はロンドンですが、メグとアガサの目を通して語られる生活は、まるですぐそばにいる誰かの日常のようでもあるんですよね。職場の上司の愚痴や不誠実な夫への不満も、カフェで過ごしたり妊婦のためのヨガレッスンに通ったりする日々も。そんな女性たちに親しみがわいてくるのが、この物語の魅力でもあると思います。だからよけいにせつないのだけれど。

2018年オーストラリア年間最優秀小説賞受賞作。素晴らしく面白い小説を夢中で読みたいときにぜひ。休日の読書や夏休みの読書にオススメしたい一冊です。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
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まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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