朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『からまる』。
泉鏡花賞受賞作家・千早茜の不思議な味わいの短篇小説集。一人でいるのは寂しくて、でも誰かとうまく繋がれない。そんな男女の人間模様を描いたストーリーをどうぞ。
『からまる』
著者:千早茜
出版社:KADOKAWA/角川書店
人と人とをつなぐ糸がもし見えるなら、この物語に描かれる男女はどんなふうに結ばれているんだろう。きっとその結び目はほどけそうでほどけない。でも、誰かが誰かにしがみつこうとすると、するりと離れて遠くにいってしまう。
最初のストーリー「まいまい」では、地方公務員の武生が主人公。休みの日、彼がアパートでごろごろしていると、女が時折やってくる。足音も立てずに屋根裏部屋のベッドにするりと入ってくる。どこに住んでいるかも携帯の番号も知らないまま、武生は彼女を受け入れている。「いつも気まぐれ、約束もしない」関係が心地よく続いていたけれど、ある日、武生と女の関係に変化が起きて……。
「ゆらゆらと」とで描かれる女性は、失恋して最悪の気分。いつも自分が想うほどには相手は想ってくれない。そんな不満を抱えてたまらなく寂しくて。「世界であたし一人しかいないみたいだった。あたし一人だけが忘れ去られて、別世界に取り残されてしまったような気分だった」——。
7つのストーリーは少しずつ重なり合って、淡い濃淡から始まった人間模様が次第に色濃くなっていく。触れ合いそうな手と手、繋がりそうな心と心が情感豊かに描かれた一冊。混ざり合って滲んだ色がいつまでも余韻として残ります。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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