朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『下北沢について』。
作家・吉本ばななの心温まるエッセイ集。にぎやかで居心地のいい街・下北沢についてのエピソードと日々の暮らしをつづります。下北沢の書店の小さな本のシリーズから生まれた一冊です。好きな街に住む幸せを感じます。
『下北沢について』
著者:吉本ばなな
出版社:幻冬舎
東京・下北沢の街は、吉本ばななさんの家族を優しく見守ってきた。「子どもが小さい頃くらいは自分が育ったような商店街があるところで暮らしたいな」と引っ越す決意をして以来、著者はずっと下北沢界隈に暮らしている。
仕事と子育てに忙しく夢中で過ごしてきた日々の暮らしには、幸せと切なさが入り混じる。このにぎやかで楽しい街を子どもといっしょにゆっくり歩いてきた。今はもう、小さかった子どもの速度に合わせて歩くことはない。市場の店の前で綿菓子を作ることも、夕暮れ時に手をつないで帰ることもない。
街はどんどん変化していく。お店も人も入れ替わっていく。「でも、悲しんでばかりはいられない。今日一日の会話が、街を歩くことが、人生を創っていくのだから」という言葉が心にしみます。そしてある日曜日、著者は懐かしいお店に行って、ずいぶん大きくなった息子さんといっしょにお茶を飲みながら思う。「なにも欲しいものはない。なんの悩みもない」——。
下北沢に引っ越す前の家の暮らしもつづられています。この本は、吉本ばななさんが移り住んだ家の愛しい記録でもあります。どうしようもできないこともたくさんあるけれど、ちゃんと受け入れてありがとうという気持ちを大切に前に進んでいくばななさん。「きっと街が見ていてくれる」この言葉もすてきです。
下北の話を読んでいると、ずっと前の街の風景や雰囲気がよみがえってきて、またゆっくりと歩きたくなります。街の人たちの優しさにふれる一冊をどうぞ。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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