子どもの頃に読んだお話って今でもよく覚えていますよね。「桃太郎」「雪女」「走れメロス」……絵本や教科書でお馴染みの物語は、時代に左右されることなく読み継がれています。
そんな名作たちを、近代、現代の人気作家たちがそれぞれの視点でとらえ直したら?予想外の展開が待っている「二次創作小説」を5作品ご紹介します。
【1】『桃太郎』芥川龍之介
日本一有名な文学賞で知られる文豪が書いた日本一有名な昔話は、正義の味方のイメージを覆す悪・桃太郎伝説。
桃太郎が鬼退治に向かった理由は、「お爺さんやお婆さんのように、山だの川だの畑だのへ仕事に出るのがいやだったせいである」。青空文庫で無料で読めます。
【2】『新釈 走れメロス 他四篇』森見登美彦
『四畳半神話大系』や『夜は短し歩けよ乙女』で知られる森見登美彦さんも、二次創作に取り組まれています。
大学生も、友のために疾走する(『走れメロス』)。挫折し、天狗になった誇り高き先輩(『山月記』)。名作の数々が、京都を舞台にしたポップな青春小説として甦りました。
【3】『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎
当代きっての人気作家 伊坂幸太郎さんが書いたのは、太宰治の絶筆「グッド・バイ」のオマージュ。モテ男が改心して幾人もの愛人に別れを告げにいく様を描いた喜劇を、現代に置き換えると……。
太宰の死によって未完に終わったストーリーが、約60年の時を経て完結しました。
【4】『FUTON』中島京子
映画化もされた『小さいおうち』などで知られる直木賞作家 中島京子さん。そのデビュー作は、田山花袋の名作『蒲団』がモチーフでした。
『蒲団』は、妻のいる中年作家が若い女弟子に惚れてしまうというお話。衝撃のラストが話題のこの作品を、中島さんは妻の目線からとらえ直しました。原作では聞こえてこなかった女性たちの声が、現代のわたしたちに届きます。
【5】『ユキの異常な体質/または僕はどれほどお金がほしいか』大前粟生
こちらは、二次創作をテーマにした短編小説を公募する「ブックショートアワード」の第二回大賞作品です。
「朝起きるとバケツのなかに水がたまっていた」という一文から始まる、夏に憧れた現代の雪女のお話。著者の大前粟生さんは、今後ますます活躍が期待される新進気鋭の若手作家で、今年6月には、この短編を原作にしたショートフィルムが公開予定です。
「ブックショートアワード」とは?
「ブックショート」は短編小説を公募して物語を集め、ショートフィルムをはじめとした多彩なメディア、視点で再構築=Re-Storyしていくプロジェクト。2014年にショートショート フィルムフェスティバル & アジアが立ち上げました。
「ブックショートアワード」では3月末まで作品の公募を受け付けています。みなさんも記憶に残っている昔話を、自分なりの解釈で物語にしてみては?
大賞受賞者には、賞金100万円が贈られ、大賞作品はショートフィルム化が決定します!
記事公式協力:ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)
米国アカデミー賞公認、日本発・アジア最大級の国際短編映画祭。「ショートフィルム」を新しい映像ジャンルとして日本に紹介するため、米国俳優協会(SAG)の会員でもある俳優の別所哲也を創立者として1999年に東京・原宿で誕生しました。
2017年は6月に原宿・横浜で開催予定です!
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