(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
Week 5は、主人公である紗季との交際をスタートさせた優斗の視点でストーリーが展開します!)
Vol.34 Week 5 「39歳の初恋」 (6)離したくない
紗季は僕に割り込ませないように話を続けた。
「彼を遠ざけながらも、どこかで胸の奥がうなるような想いがあったのは事実です。それは、春の心のときめきとは違うものだと、そしてまた雪解けがくることはないと彼にはっきり伝えました」
「それじゃあ」
「この年でばか正直ですけれど、そのことをちゃんと伝えておきたかったので。なんとなく浮き足だっていて、昨日。恥ずかしいのですが、久々なので、恋人がいるって」
「ほんとに正直なんだね」
「この年にして幼いですかね、重いです?まじめすぎて」
真っ赤にして笑う紗季を僕はもう、離したくなくて、見逃したくなくて、ますます見返りを求めないことができない気がした。
「いや、その方がいいよ」
「なら、良かった」
「僕はちょっと怖いくらいなんだ、初めてこんなにひとを思うことができた」
「またまた」
紗季は意外にも耳まで真っ赤にさせていて、恥じらいを隠すために、スープをせわしなく頬張る。
紗季と同じように、僕だって昨日のことをちゃんと告白すればいいのだが、とにかくいまいい。目の前にいる紗季の表情だけをずっとみていたかった。
アレックスに借りて読んだヨガの聖典『ヨガ・スートラ』によれば、ヨガの教えには、八支則(はっしそく)という8つの段階の修行のようなものがあり、一段階目に、まず行ってはいけないヤマという心得の実践があり、次に行うべきニヤマという二段階目の心得がある。
サティヤは、ヤマの5つのうちの1つ、サントーシャは、ニヤマの5つのうちの1つ。
僕は、自分を認めるために、行うべきニヤマから始めよう、なんだかそれが健全な気がした。
そして、同時に、大切なパートナーが自分自身を大切にしてもらえるように行動しよう、そう思った。
(つづく)
今週のおすすめヨガ「チャイルドポーズ」
Week 5のおすすめは「チャイルドポーズ」。
ヨガでは、お休みや癒しのポーズとしても使われます。それだけ、リラックスすることができるということです。ただ単なるお休みではなく、呼吸を落ち着かせ、内臓を刺激し、力を抜くことができます。
出来るだけ、背中を緩めて自由な背骨を作り、呼吸に注目します。呼吸が整うことで、さらに骨・筋肉ともに動かすことができ、自由な上体を作ることができますよ!苦しい時、休みたい時、朝起きるときにおすすめ。
「チャイルドポーズ」の流れ
- 膝をたて、両膝に均等に体重がかかるようにしまっすぐ立つ。また、足先の親指と親指を重ね合わせておく。
- 両かかとにおしりをおとし、上体はリラックス。この時腰が後に落ちてしまわないように、注意しましょう。息を吐きながら、ゆっくり膝を床の方へ向かって開いていきます。
- 息を吐きながら、上体を前傾します。なるべく前方へ手をひっぱります。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。