(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
Week 4は、ふたたび主人公である紗季の視点でストーリーが展開します!)
Vol.28 Week 4 「朝ごはんでデートを」 (7)長い長いLINEのメッセージ
LINEを開いた瞬間、息をとめてしまった。
あまりに長いそのメッセージは、一画面で見れる量を超えていて、最初にありつくために、わたしは指でなんどか画面をなぞることになった。
紗季へと書いてあるその長い文章は、けしてキレイな文章ではないのに、何度も何度もスクロールを行き来して読み返すことになった。
「僕は、紗季よりも上でいたかったし、紗季よりも仕事ができる人間でありたかったし、紗季に頼られたかった。」
私は真治によく話していた。
「君は輝いていていいね」と男性から言われることが一番イヤなことだと。
ならば、自分を磨く努力をすればいいのに女々しく感じると。そう思っていたのは20代の頃の話だ。いまなら、素直にその言葉も受け入れられるのに。
きっとわたしが、真治を追いつめていた。
「いまは素直に言える
紗季のことがまぶしい、とても輝いて見える
できれば、僕のことだけ照らしてほしい
時にかわいく、時に美しく
ケラケラ笑う声を一番耳にしたい
どっちが上とか下とかなく、ただ一緒にいたい、できれば支え合いたい」
ここが会社であることに気付いたから、席をたった。真治に見られているだろうけれど。
「だから、ラストチャンス。
これでダメなら、僕は潔く諦める。縁がなかったのだと。
だから、答えを聞かせてほしい。
ニューヨークへは今週土曜に発つ。それまでに」
どうしてこれほど涙がでるのか、答えをはっきりできないまま、仕事に戻った。
朝まで、ちょっとウキウキしていた自分はなんだったのだろう。30歳にもなって、恥ずかしい。
真治にメッセージを出せないことがすべてを物語っていた。
(Week 5へつづく)
今週のおすすめヨガ「さかなのポーズ」
Week 4のおすすめは「さかなのポーズ」。
胸を開き、頭皮を刺激するポーズで、固くなりがちな背中を動かし、胸を開くことで呼吸がとても楽になるでしょう。冬の間は、頭皮も乾燥したり、うつむき癖でひっぱられたり、酷使しています。
明日に向かう活力をもらえるポーズです。
「さかなのポーズ」の流れ
- 足を腰幅に開き、全身の重みを床に素直に落とします。
- 手を組み、お尻の下におきます。同時に肩も背中の下にしまうイメージで、内側に入れます。
- 胸を天井からつられているイメージで、引っ張り上げます。最後に頭頂部を床につけ静止。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。