【朝の恋愛小説:あしたの朝、ヨガスタジオで。Vol.22】Week 4(1)ニューヨークの朝ごはん

 

(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。

Week 4は、ふたたび主人公である紗季の視点でストーリーが展開します!)

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Vol.22 Week 4 「朝ごはんでデートを」 (1)ニューヨークの朝ごはん

今年のお正月は、新潟のお雑煮を食べていた。

20代の頃は、年末年始も出かけていたが、いまはこうしてゆっくりお雑煮を食べる正月は悪くないなと思う。

大晦日、大親友の七海に言われた「素直な気持ちは?」の回答に困ったのは、わたしが気持ちに蓋をしている証拠だった。

真治のことは忘れたはずだ。

優斗さんといると、本当に楽しい。

あのヨガスタジオのあと、ピエロの鼻をつけた優斗さんから、付き合ってみないかと言われた。

「またまた元気をくれたらいなくなるのが、ピエロのつとめでしょ?もう君はひとりでがんばれるさ〜とか言ってさ」

「まったくピエロって実は本当に切ないキャラクターだよね。紗季ちゃん、真面目そうだから、こういう演出しただけだよ。明るくてみんなに頼りにされているけど、ずっと心の底から笑ってない、っていう顔してる」

「いやいや、まだ会ったばかりで何が分かるんですか、嬉しいですけど、遊びに付き合っているだけの余裕はないんです、他あたってくださいね」

「こういうこと言うのもどうかと思うけれど、僕はそういう心のスキマに上手くもぐりこめばいいって思ってるから」

明るく言い放ったつもりが、わたしはふいに泣いてしまった。

ピエロは、わたしを抱きしめた。ぎゅっと。

優斗さんの手のサイズがどうだったか見ていなかったけど、わたしの背中を支える手が大きく感じた。

久々にすっぽり包まれる感じが、あまりに心地よくて、そのまま眠ってしまいたくなる。

「ほら、女の人はちゃんと求められないと、枯れちゃうんだ。自分で水を与えているつもりでも、足りなくなるから。きちんと水をくれるひとを探しなよ」

と言って、優斗さんは、空だったコップから水を流してみせた。

「どこまでが台本?」

わたしは、その時、泣いて笑ってを繰り返して、ぐちゃぐちゃだった。

優斗さんといればきっと楽しいよね。

一歩を踏み出してみよう、そっちに傾いた新年。

だからこそ、真治ともちゃんと話をしようと思ったのだ。

インターホンがなった。

(つづく)

今週のおすすめヨガ「さかなのポーズ」

0801topWeek 4のおすすめは「さかなのポーズ」。

胸を開き、頭皮を刺激するポーズで、固くなりがちな背中を動かし、胸を開くことで呼吸がとても楽になるでしょう。冬の間は、頭皮も乾燥したり、うつむき癖でひっぱられたり、酷使しています。

明日に向かう活力をもらえるポーズです。

「さかなのポーズ」の流れ

  1. 足を腰幅に開き、全身の重みを床に素直に落とします。
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  2. 手を組み、お尻の下におきます。同時に肩も背中の下にしまうイメージで、内側に入れます。
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  3. 胸を天井からつられているイメージで、引っ張り上げます。最後に頭頂部を床につけ静止。
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(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

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★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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