【朝の恋愛小説:あしたの朝、ヨガスタジオで。Vol.17】Week 3(3)仕事ができるひと、不器用なひと

 

(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。

Week 3は、紗季の元恋人である桜井真治の視点でストーリーが展開します!)

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Vol.17 Week 3 「ニューヨークの真実」 (3)仕事ができるひと、不器用なひと

「真治、今日も来てくれてありがとう、嬉しいよ」

翌朝もヨガスタジオに足が向かった。アレックスの声は、毎朝聴きたくなる響きだ。

僕は純粋にヨガがいいと思い始めてきた。

ニューヨークではあれだけ紗季に誘われても、興味を示さなかったのに。

少しずつ関節が動くようになり、身体を伸ばす感覚が心地いい。

気に入っているのは、三角のポーズだ。自分の身体を大きく伸ばしながら、骨を正しい位置にはめていくような感覚。

上手くポジションをとれたときの感覚は、大人になってするパズルが完成したときのそれに似ている。完成した時、思っていたよりもアドレナリンが出て、そのことにまた興奮するような。

前でポジションをとっている紗季が、後ろに手を回し、目線を後ろにやったとき、目が合った。僕は少し微笑んだ。

紗季は微妙な表情をした。そして筋肉がこわばるのが、見ていて分かった。

それでも、穏やかな気持ちになれた。そういうのも、最近ヨガを評価する要素だ。

「桜井さん、エクスポの準備すべて整いました。今日中に一度、レビューいただけますか」

「OK」

「では、15時いかがですか。会議招待させていただきます」

「OK、ありがとう」

会社に着くと、既に紗季はキャリアウーマンに変身していた。

紗季の仕事のスピード、資料や計画のクオリティはあの時よりも、数段上にある。あの後、仕事に打ち込み、努力したのだろう。

昔は、不器用な子ほど、かわいいと思えた。紗季は不器用でかわいかったが、エネルギーが強すぎて空回りをしていた。たまに、そこから逃げたくなることもあった。

「紗季さん、ここ2週間くらい気合いが違いますよ」

しおりが耳打ちしてくる。

「じゃあ、僕に脈ありってことかな?」

この子の目的は何なのか分からないが。

何秒かごとに彼女を追う自分を味わうのも、人生で最後かもしれない。まだこんな感情があったということに、無味な2年間を過ごした僕にとっては純粋に嬉しくもある。

視線のさきにいるのは、向こう見ずで根拠のない自信だけがある昔の紗季の様子とは違う。

僕があのとき紗季のアイデアを推薦していたら、彼女の人生はどう変わっていたのだろう。

(つづく)

今週のおすすめヨガ「三角のポーズ」

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Week 3のおすすめ「三角のポーズ」も、先週の「木のポーズ」同様、ヨガの代表的なポーズ。

腕から体側、脚までをバランスよく伸ばし、大地を踏みしめる力強いポーズ。滞りがちな股関節周辺の関節の動きや筋肉を動かし、リンパの流れや血流も良くします。

股関節の位置が上手くはまると、きつさがなくなり、関節への心地よい刺激で、身体の中がぽかぽかしてきます。

「三角のポーズ」の流れ

  1. 足裏全体を床に根をはるようにイメージし、ひざ頭、うちももを引き上げ、骨盤まで足の裏からの意識を繋げていきます。上体は、緊張させず、リラックス状態を意識します。
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  2. (1)の状態から、左足を大きく一歩後方へ進め、マットに対し、45度左側に足先を開きます。左足うら全体で、床を押します。この時、親指からうちももを特に意識をおき、うちももを内側に少しひねるようにし、左の骨盤を前に押し出します。
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  3. (2)の状態から息を吐きながら、左の骨盤を今度は真横に開いていきます。左足先は、マットに対し90度に開き、両手も開きます。
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  4. 骨盤を左側にずらし、右手を前方にひっぱられるように移動させます。左の骨盤と右手先の感覚が繋がるように意識します。反対側も同様に行います。
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  5. 右手を右足に落とし、左手を天井に上げ、左胸から天井へひっぱられるようにカラダを広げます。
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(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

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★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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