【朝の恋愛小説:あしたの朝、ヨガスタジオで。Vol.11】Week 2(4)両思いなのに素直になれないのは

 

(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。

Week 2は、主人公である紗季のヨガ仲間であり、同じ会社の事務系OLしおり視点でストーリーが展開します!)

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Vol.11 Week 2 「いつも彼女を好きな人を好きになる」 (4)両思いなのに素直になれないのは

 

紗季さんと出社すると、すでに桜井さんがデスクにいた。

「おはようございます、桜井さん早いですね」

「おはよう」

紗季さんも続ける。

「おはようございます、時差ぼけは大丈夫なんですか?」

「いや、その時差ぼけで。眠れないから、早く来た」

一瞬間があいた。さっきまで小気味よく空気が流れていたのに。

「じゃあ、桜井さんもわたしたちが通っている朝ヨガスタジオにいらっしゃったら?」

「ごめんごめん、一旦ごめーん、オレ固いから」

「え?」

「ちょっと紗季さん、まだ検索してなかったんですか?桜井さんだってご存知なのに」

「うわ、なんか怖い、なんか呪われそう。わたしだけが知らないワードだったりして」

「あの、なんだっけ『世にも奇妙な物語』の話でさ、主人公だけが知らない言葉があってさ、なんだっけ・・・あれ、怖いよね」

「ズンドコベロンチョ」

「そうそう、そうそう!」

「「ズンドコベロンチョ!」」

紗季さんと桜井さんは2人ハモって笑った。

今度はわたしが置いてけぼりだ。

「っていうか、桜井さん、本当にニューヨークにいたんですか?日本のエンタメに詳しすぎですよ」

「このひとはね、根っからテレビ好きなの」

と言って紗季さんははっとした顔をした。

すぐに「ああ、妖怪ウォッチかあ」とひとりごとを言ってごまかした。その姿を一瞬眺めていた桜井さんの横顔、絵になる。

紗季さん、ばっかり。

「紗季さん、優斗さんってパーフェクトじゃないですか?」

「確かに、イケメンエリートでしょ、話が超面白い、細マッチョ、センスいい!まあ、解せないのは、なぜ朝ヨガスタジオに来るのかってことくらい?」

紗季さんは小気味よく吐き出して笑うと、「なんか抱えてるのかな」とつぶやいた。

わたしは桜井さんの方を意識して言う。

「失恋、とか・・・?」

「それもありうる、わたしも二度目のヨガを始めたきっかけは、失恋だったもの!」

桜井さんが、顔をあげた。

「紗季、エクスボ出店のアプライできたから、『WATAN』のロゴデータ送ってくれる?」

「はい」

「ってあの、桜井さん、ここは東京なので・・・」

わたしの方を気にする紗季さんが、ちょっと滑稽に見えて、わたしは、参戦した。

「紗季さんと桜井さん、お似合いだと思いますよ」

「何言ってるの、桜井さんはニューヨークナイズされてるだけ。昔ニューヨークオフィスで少しの間一緒に仕事してたから、わたしたち」

うまくごまかしたつもりの紗季さんに、イライラしたわたしが、次の会話に進めようとする前に桜井さんが応戦した。

「まあ、ちょっと特別な関係だけどな」

(つづく)

今週のおすすめヨガ「木のポーズ」

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Week 2のおすすめ「木のポーズ」はヨガの代表的なポーズ。

片脚を軸足にしてバランスをとります。しっかり地面を足裏で感じ、上半身と下半身を繋げることで、自分の身体を安定させます。最初はぐらつきますが、集中しようとするだけで自律神経のバランスがとれてくると言います。

心がざわついているとき、一本足で立ってみようとすることが、身体をととのえ、神経をととのえ、良い決断ができるかも。みぞおちの部分に手を当ててみるのもいいです。前に進むためのチャクラがそこにあります。

「木のポーズ」の流れ

  1. 両足に均等に体重をかけ、頭頂部までまっすぐ伸びるイメージで立つ。
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  2. 右足の裏を、左足の付け根につけ、胸の前で合掌。この時、骨盤が左側にずれてしまわないように注意。どうしてもぐらついてしまう方は、付け根でなくても大丈夫!(けが防止のため膝以外にセット)
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  3. 息を吸いながら、胸の前の手を天井まで回し持っていき、両手を重ねます。目線も両手先の方を見つめます。この時、首をつめてしまわないように注意しましょう。
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  4. 息を吐きながら、両手を広げます。小指をご自身の方へ内転させてみましょう。肩が開き、胸が開いてきます。ここで呼吸を整えます。3呼吸ほどキープしたら、ゆっくり手足を元に戻し、反対側も同様に行いましょう。
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(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

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★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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