今日のカフェボンボンの本棚は、『パンプルムース!』。
作家・江國香織と画家・いわさきちひろの美しい詩画集。江國香織が自ら絵を選び、ひらがなの詩をつけた。子どもを生涯のテーマとして描き続けたちひろの絵のそばで、29篇の詩がはじけてきらめいています。
『パンプルムース!』
文:江國香織/絵:いわさきちひろ
出版社:講談社
江國香織さんの詩にいわさきちひろの絵がとけあって、白いページに広がる柔らかな世界。
江國さんの絵の選びように意外性があって、へえって思うのだけれど、眺めているとその組み合わせ以外にはあり得なく思えてくる。
ドキッとする詩、ズンとくる詩、うふふと笑ってしまう詩……。ひらがなで描かれた子どもの世界は、とても懐かしい。小さかった頃は、たしかにこんなふうに感じていた。その感触は今もずっと心の中にあるし、からだが覚えている。
たとえば「あめのひ」という詩。
あめのひは
ひるまからでんきをつけるでしょ
ぼくはそれが
きらいなんだ
覚えてる、雨の日のうす暗さ。昼間の電気にもっと心細くなったこと。日なたがあったかくて眠くって日かげがひんやり重かったこと、つつじの蜜をどんなふうに吸ったかも。リアルによみがえってくる。だから、江國さんの詩に心揺さぶられるんだろう。
この詩画集の「朝時間」は、「おともだち」の一節より。
わたしがおばあさんになって
あなたがおじいさんになって
もしおともだちでいられたら
ときどきいっしょにあさごはんをたべましょう
うみべで
***
文庫本はこちらです。
『パンプルムース!』
文:江國香織/絵:いわさきちひろ
出版社:講談社
Love, まっこリ〜ナ
*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
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