寝たのは3時なのに、5時にはもう起きていた。
いや、正確に言うと起こされた。
でも辛くはなかった。寝不足すら嬉しかった。
大好きな人が目の前にいて、夢のようだったから。
2人で、散歩した。
藤井君は、いつもは10キロくらいジョギングするらしい。
今日は、わたしに合わせて歩いてくれた。そんなことが嬉しい。
公園で2人の影を撮影した。
「すごい!素敵」
幸せだった。
数時間後のランチタイム、ことみが話しかけてきた。
「ちょっと、どうなってんの!」
「今日の誠士の落ち込みよう、半端ないんだけど」
後ろめたい気持ちがあったことは事実だ。
でも、まだ誠士には、話をしていない。
「なんかタグづけされてた、みたいなわけわかんないこと言ってたよ」
あ・・・っ。
(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
立川萌乃(もえの) 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃(ゆきの) 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎(りんたろう)28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士(せいじ)28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太(ゆうた)24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。