今日のカフェボンボンは、イアン・マキューアンの『初夜』。
あの一夜が運命を変えた。新婚初夜で明らかになる決定的不和。初めてベッドを共にした新郎新婦に起きたショッキングな出来事とは……。
『初夜』
著者:イアン・マキューアン/訳:村松潔
出版社:新潮社
歴史学者を目指すエドワードとバイオリニストのフローレンス。オックスフォードの教会で結婚式を挙げたふたりには、輝かしい未来が待っているはずだった。もしも時代が少しだけあとだったなら……。
間が悪いことに、1962年のイギリスは、性の解放が叫ばれる直前。階級の違いやデリケートな性格も、愛の成就を邪魔したかもしれない。エドワードもフローレンスも若くて経験不足、そのうえ、とてもきまじめだったから。
ホテルの部屋でいつまでも食事をし続けるふたり。緊張のあまり食欲もなく心ここにあらずで。初夜を迎える彼らの張りつめた気持ちがひしひしと伝わり、息をつめるようにして読みました。
深く愛し合っているなら、もし内気さの殻を破れたなら、乗り越えられたかもしれないこと。それとも若いからこそ、こんな屈辱には耐えられなかったのか。いくつもの「もしも」が、エドワードとフローレンスの人生に重なっては消えていきます。
著者のイアン・マキューアンは、『愛の続き』『アムステルダム』などの作品で知られる英国のブッカー賞受賞作家。世界的ベストセラー『贖罪』は、映画『つぐない』の原作としても有名です。
名匠マキューアンがつむぐ、繊細さと残酷さに満ちた物語をご堪能ください。
よい週末を。
Love, まっこリ〜ナ