今日のカフェボンボンは、『ならの大仏さま』。
大仏建立の壮大な歴史をひもとくしぶい絵本です。奈良の大仏がどのようにして建てられ、守られてきたかをたどります。
『ならの大仏さま』
著者:加古里子
出版社:復刊ドットコム
絵本作家であり工学博士でもある加古里子(かこさとし)さんが、大仏建立を科学的な目で見つめ、細部まで描き出します。
主要記載人物73人、画面(原画)登場3000人という圧巻の出来映えです。当時の人々の大仏にかける思いや宗教的な背景も語られ、1300年に渡る大仏の歴史をより深く知ることができます。
それにしても前例のない大工事。巨大なだけではなく、地震や大風にも耐えなければならない。この高いハードルをクリアした当時の設計技術は本当にたいしたものですね! 一方で、工事現場で働く人たちの労働の過酷さは、想像を絶するものがあったでしょう。
紆余曲折の末、ようやく訪れた開眼法要の日。大仏の眼に瞳を描き入れる筆にはひもがついています。長くたれた五色のひもに、人々が手を添えて喜びを分かち合ったそうです。大仏の顔は黄金色に輝き、目は青く、口は紅色に彩色がほどこされます。とてもおごそかな場面です。
「奈良の大仏の歴史は、利害や欲望に誤りやすい人間が、迷いや悩みを少しずつ乗り越えてきたことを示す貴重な跡」という加古さんの言葉がずしりと重く響きます。
本のお供には、いにしえの都を思いつつ、大和茶などいかがでしょう。
Love, まっこリ〜ナ