今朝のカフェボンボンのおすすめは『ポプラの秋』。
川沿いの木造アパート「ポプラ荘」で暮らす母娘の心にしみる物語です。
『ポプラの秋』
著者:湯本香樹実
出版社:新潮社
突然夫を亡くし、失意のあまり心を閉ざす母。なす術もなく母を心配する6歳の私・千秋。重苦しい日常から逃れるように、母娘はいつも郊外電車に乗った。そんなある日、偶然降りた町で、ふたりは大きなポプラの木を見つける……。
これがポプラ荘でのちょっと奇妙な生活の始まりだったのだけれど、千秋にとっては、大家のおばあさんも、おばあさんの暗い家の中も不気味で仕方ないのです。怪しい薬を飲んで悪者になってしまったポパイ。ちんくしゃ顔のおばあさんをそんなふうに思っていたのですから。
秋の日の昼下がり。千秋はポプラの木が金色に輝いているのに気づきます。雨上がりのひんやりした空気を胸いっぱいに吸い込む千秋。澄みきった空に小さな女の子の苦しみが溶けていくような美しいシーンです。
千秋の「朝時間」は、おばあさんのお茶の間で過ごした日々。本のお供には、おばあさんの好物の豆大福をいかがでしょう。
ポプラ荘は孤独や痛みを抱えた住人たちが帰れる場所。庭のポプラが見守っています。秋色に染まり始めたこの時期にぴったりの物語です。
Love, まっこリ〜ナ
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