今日のカフェボンボンは、東京郊外の川沿いの町を舞台にした、長野まゆみの『野川』。
中学校の新聞部で伝書鳩を育てる少年の成長を叙情豊かに描いた感動作です。
『野川』
著者:長野まゆみ
出版社:河出書房新社
主人公の井上音和(おとわ)は、中学二年の夏、家庭の事情で都心の学校から転校してきた。環境の急激な変化になかなか馴染めずにいるが、川の流れる郊外の町の風景が、都会育ちの音和には目新しい。
夏草の揺れる川べりの道、セミの鳴く屋敷森、崖地に立つ校舎……。音和の目線で濃い緑を分け入って行くような感覚が心地よかった。
新聞部に入部した音和は、「鳩の通信」の世界を初めて知る。仲間たちと伝書鳩を育てるうち、音和自身も少しずつ変わってゆく。それにつれて、音和の視界が広い空を翔ぶ鳥のようにぐんと広がり、その心に映る風景も鮮やかさを増していくようです。
秋へと移ろう武蔵野の自然描写がなんとも美しく、心にしみます。川沿いの静かな町も伝書鳩も少し古風なのがいいですね。
野川の「朝時間」は、濃い緑のなかで鳥たちが憩う朝。
本のお供には、ミックスベリーティーをいかがでしょう。イチゴやブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリーなどの果実を浮かべた紅茶です。
ベリーのように甘酸っぱく、さわやかな物語をどうぞ。
素敵な休日を!
Love, まっこリ〜ナ