BLOG

少女の揺れる心を描く『春のオルガン』

 

今日のカフェボンボンは、湯本香樹実の『春のオルガン』

小学校を卒業したての少女の春を、みずみずしい感性で描いた物語です。私はどんな大人になるのかな? 考えても何も浮かばない。それなのに考えるのを止められない。いつまでたっても堂々めぐり……。

20130125

春のオルガン
著者:湯本香樹実
出版社:新潮社

春休み、トモミは布団にもぐりこんだまま、ネジの緩んだ時計の振り子みたいに揺れている。

原因は去年から続いてる頭痛。悪夢にも悩まされるし、中学受験も失敗しちゃった。家族もバラバラだし、隣の家とのトラブルもある。気が合うのは弟のテツだけ。家に帰りたくない。河原で見つけた古いバスでテツと暮らそう……。

春風はいろいろなものを運んでくる。宿題のない解放感、誰かと出会えそうな予感。その一方で、不安に押しつぶされそうにもなりますよね。トモミのように身動きがとれなくなって、それでも一歩前に踏み出せたら、きっと新しい世界が待っていると信じたいな。

トモミの「朝時間」は、台所でミルクを温める明け方。

くもりガラスの窓が青く染まって、夜明けが早くなったと気づきます。それは、トモミの中で、季節や時間がちゃんと進んでる証なのかも。トモミと同じ年齢の人たちにも、ぜひ読んでほしい一冊です。

『ポプラの秋』も心に染みます!

よい週末を。
Love, まっこリ〜ナ

*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
https://asajikan.jp/topics/cafebonbon/

朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』はこちら>>

 

この記事を書いた人
Nice to meet you!

朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』

公式ブログ
小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

連載記事一覧

今日の朝の人気ランキング