今朝のカフェボンボンメニューは、三浦しをんの感性がきらめく『月魚』。
古書業界を舞台に描く、若き古書店の主人とその友人の物語です。ふたりの美青年があやなす濃密な空気にクラクラきます。
『月魚』
著者:三浦しをん
出版社:角川書店
老舗古書店の三代目・本田真志喜は、書物とともに孤独に生きる美しい若者。幼なじみの瀬名垣太一は、そんな真志喜をそばで見守りながら、天性の勘と行動力で厳しい古書業界を生き抜いています。
古書を愛し同じ業界で助け合いながら仕事をするふたりですが、幼い日に起きたある事件がいまもお互いの心に癒しがたい傷を残していて……。真志喜と瀬名垣の密やかな関係とともに、古書業界の舞台裏がじつに面白く描かれています。
書物は人の手を経て時を超え、次の持ち主が現れるまで静かに眠る。しかし、たった1冊の本がときには人の運命さえ変えてしまう。古書の世界の奥深さに魅了されます。
そして……。ふたりの若者の友情を超えた強い感情は、触れればやけどしそうなほど熱く官能的。みなさんには朝からこの物語に浸ってほしいですけれど、私の場合は甘美な世界に絡めとられたらもうおしまい。勤労意欲をなくしてしまう危険性ありです。
『月魚』の「朝時間」は、真志喜の家に泊まった瀬名垣が、朝もやのなかを帰っていく光景。夜の気配が立ちこめる物語のなかで、ひときわ心に残る美しい朝のシーンです。
本のお供には、みずみずしい西瓜を。
ふたりの夏の日の思い出に。
Love, まっこリ〜ナ