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長野まゆみの極上短篇集『よろづ春夏冬中』

 

今日のカフェボンボンは、『よろづ春夏冬中』

春夏冬中と書いて「あきないちゅう」と読む。夢かうつつか、変幻自在な短篇集をどうぞ。

20120814

よろづ春夏冬中
著者:長野まゆみ
出版社:文藝春秋

著者のあとがきの一文には、ささやかな「おかしみ」を感じていただければけっこう、とある。そのおかしみがじんわり効いてニヤリとする話もあれば、やるせなさに変わる作品もある。

男性同士の恋愛を繊細に密やかに描く。通学の電車、予備校、高校のロッカーで、日常がぐらりと変化して、気づいたら異界に足を踏み入れている。

世界の変わりようが鮮やかで変幻自在。妖しい場所に迷い込んだときの恍惚感、夢から覚めたあとの気恥ずかしさも「おかしみ」に通じるのかもしれない。

時給の高い「代筆人求ム。毛筆できる方」の広告にひかれ、面接に出かけた大学生が不思議な体験をする「雨過天青」、男子高校生同士の微妙な関係を描いた「空耳」。どちらも書道が物語の鍵なのは偶然でしょうか。

「タビノソラ」「雨師」「獅子座生まれ」など14の短篇を収録しています。

以前ご紹介したこちらの作品もおすすめです。

『野川』…伝書鳩を育てる少年たちを叙情豊かに描いた感動作。文庫も発売になりました。
『お菓子手帖』…自伝風極上スイーツ小説。甘くて懐かしいお菓子の記憶をつづる。

Love, まっこリ〜ナ

 

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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