朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、冬の寒さが身にしみる日の読書リスト。
以前ご紹介した本の中から、心を温めてくれる本をセレクトしました。ページを閉じたあとにはきっと優しいぬくもりに包まれる、とっておきの3冊です。
大丈夫じゃないときに

『夜廻り猫(11)』
著者:深谷かほる
出版社:講談社
漫画家・深谷かほるの『夜廻り猫』大人気シリーズの11巻。夜廻りをする猫・遠藤平蔵(えんどうへいぞう)を描く心にしみる8コマ漫画です。第21回手塚治虫文化賞短編賞受賞作品です。
涙の匂いをたどって夜廻りをする猫がいる。夜廻り猫の遠藤平蔵は、心のなかで涙を流している人や動物たちの声にじっと耳を傾ける。平蔵自身はほとんど何も語らない。うんうん、そうか、そうかとうなずいて、苦しむ誰かの背中にそっと手を当てる。また平蔵たち野良猫の友達を心配して「安穏としてられない」飼い猫もいます。互いが互いを案じています。
今日一日を乗り越えられたら明日の朝はやってくる。やりきれないほどつらい夜やひとりぼっちで孤独な夜、猫たちがあなたをそっと見守ってくれている。遠くにいても、時間が経っても、姿が見えなくてもあなたを想う人がいる。ひとつひとつの話を読むうちに心に小さな灯りがともります。
決して世渡り上手ではない、忍耐強く愛情深い人や動物たち。犬の「よしよし」と彼を引き取った青年・優希とのエピソードがとても好きで何度も読み返しています。冬の厳しい寒さが身にしみる季節です。心温まる一冊をぜひどうぞ。
明かりの灯る家へ帰ろう

『木暮荘物語』
著者:三浦しをん
出版社:祥伝社
物語の舞台は、小田急線の世田谷代田駅近くの古い木造二階建てアパート「小暮荘」。風変わりで愛おしい住人たちに心温まる連作短編集です。
この小説を読むと、人恋しくてたまらなくなる。小暮荘の住人たちに会いに帰りたい。みんなが待ってくれているような、そんな気がするんです。
世田谷代田駅から徒歩5分にある「小暮荘」の住人たち。みんななんとなくワケありでちょっと困った事情を抱えてる。大家の小暮さん、女子大生、会社員。そして平穏に暮らしていた花屋店員の繭にも思いもよらない出来事が起きて……。
ささやかで幸せな日々に波風が立ち、まわりの人も巻き込んでみんなが右往左往する。そんなとき、住人たちが自分を取り戻せる場所は小暮荘。おんぼろだけど居心地がいい。家族でも恋人でもない隣人たちとのつながりが心を癒してくれるのです。親しくはないからこそ心を開けるのかもしれません。
小暮荘を離れていく人も、またいつか、帰ってこれたらいいな。読む人の心に明かりが灯る、優しい物語をどうぞ。
恋の話においしいごはん

『おいしいものと恋のはなし』
著者:田辺聖子
出版社:文藝春秋
おいしい料理と恋の物語が五感を刺激する9篇。作家・田辺聖子が大阪の街を舞台に描く傑作恋愛短篇集です。おうち読書にぴったりの素敵な一冊をどうぞ。
好きな男がなかなか煮え切らない。女ごころがわからない。ハラハラしたりイライラしたりしながらも、どうしたってその男に惹かれてしまう。
結婚する気のない恋人との一泊旅行を描く「ずぼら」の主人公・たまみもそのひとり。「一抹の、不安な感じが、ためいきのように彼をとりまいている、そこも好き」と、酒ばかり飲んでずぼらな恋人の塩田をほっとけないでいる。でも、こうしてふたりで旅に出ればときめいて楽しくて、「横にいられると、しみじみ、体も心も、ほとびてくる気がする」——。
物語の女性たちが好きな人のいいところを語る言葉に、かわいい恋ごころがにじみでているようで、ぐっときます。そして、なかなか愛の言葉を口にしない相手の男性たちも、本当は心の機微をわかっているのだと思います。
また、田辺聖子さんの小説ならではのおいしそうな料理のシーンもたくさん散りばめられています。あつあつのおでんやお酒がふたりの心の距離が近づける。じんわりと気持ちがあったまっていくときもあるし、思いがけないほどぐっと高まるときもあるのが、恋とおいしいものの味わい深いところです。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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