朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、旅先やおでかけに持っていきたい本。
前回ご紹介した「今すぐ旅に出たくなる本」に続き、ゴールデンウィーク中の読書にオススメの本を。今回は文庫で読める短篇集をセレクトしました。旅先やお出かけのお供にはショートストーリーがぴったり。お休み中のちょっとした時間の合間にも読みやすい3冊をぜひどうぞ。
ムーミン谷の暮らし。
ムーミンシリーズの作品でただひとつの短篇集。ムーミン谷の仲間たちの魅力が詰まった9篇です。
9つの物語にはムーミン谷のさまざまな住人たちが登場します。「目に見えない子」では、ニンニという名前の女の子がムーミン一家にやってきます。でも、誰も彼女の姿を見ることができません。ひどくいじめられたことが原因で、ニンニはだんだん青ざめて、はしっこから色あせて、とうとう見えなくなってしまったんですって。そんなニンニを遊びに誘い出すムーミンやミイ。怖がらせないようにやさしく迎えるムーミンママが素敵です。
ムーミン谷の住人たちは、どんなときも自由に、心豊かに生きている。春の日にあたらしい歌を考えているスナフキン、おだやかな夏の日に、浜辺で大きなじゅうたんを洗うフィリフヨンカにも出会えます。
『新装版 ムーミン谷の仲間たち』
著者:トーベ・ヤンソン/訳:山室静
出版社:講談社
路線バスにのって。
じっと窓の外を眺めながら、泣きそうな心を抱えている人もいるかもしれない。バスといっしょに揺れる気持ちを、石田千が鮮やかに描き出す。一番後ろの席で涙が止まらなくなったひと、「あせっても、しかたわないわ」と降車ボタンを押すひと。ゆっくりと流れる車窓からの風景が乗客をやさしく包み込みます。
さまざまな季節、いろいろな場所を走る路線バスの乗客をめぐる二十篇。私がとくに好きなのは、お持ち帰りのカレーを持った男が乗ったバスの話「スパイス国行き」。バスに漂うカレーの匂いに、みんなのカレーへの熱い想いが呼び覚まされて……。バスとカレーが巻き起こすちょっと楽しいハプニングです。心にやさしい短篇集をどうぞ。
『バスを待って』
著者:石田千
出版社:小学館
心が温かくなる物語。
児童文学作家・安房直子(あわなおこ)の傑作短編集。この美しい物語にぴったりの言葉は、童話でもファンタジーでもなくメルヘン。思春期の頃、憧れや不安でいっぱいな心を温かくしてくれたのは、やっぱりこんなメルヘンでした。
たとえば「あるジャム屋の話」。人づきあいの苦手な若者が、森の中の小屋でジャム作りを始めるのですが、ジャムは一向に売れません。絶望しかけた若者のもとを訪れたのは意外にも……。黙々とジャムを作る若者のさびしさをやさしく包み込む、詩のような物語がじんと心に響きます。
人の心にすっと入り込み、希望の光をともしてくれる物語。人生に訪れる幸福の瞬間を照らす光は、ランプのようにポッと明るく輝いて、いつまでも温かい。
『春の窓 安房直子ファンタジー』
著者:安房直子
出版社:講談社
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*『新装版 ムーミン谷の仲間たち』
*『バスを待って』
*『春の窓 安房直子ファンタジー』
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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