朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『映画のメリーゴーラウンド』。
評論家・川本三郎が映画についてつづったエッセイ集。「ぴあ」アプリ連載から生まれた一冊、新刊です。映画を観るのがより楽しくなる本をどうぞ。
『映画のメリーゴーラウンド』
著者:川本三郎
出版社:文藝春秋
サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』が出てくる映画は? 雨のなかの猫探しのシーンがあるのは? ジュークボックスが印象的に使われていたのは? 入浴シーンが忘れられない日本映画は……?
小道具や何気ないシーンを接点に、一本の作品から別の作品へ、映画がしりとりのように連想されていく。ウディ・アレンの『女と男の観覧車』ではじまった遊園地つながりのしりとりは、いつしか『ペーパー・ムーン』の食堂のシーンへ。素敵なつながり方にときめいて、その映画をたまらなく観たくなってしまう。
「『ティファニーで朝食を』の話から…『寝ても覚めても』『めまい』…最後は『ママの想い出』につながりました。」黒澤明監督『天国と地獄』の話から…江ノ電、『海街diary』…最後は森田芳光監督『僕達急行 A列車で行こう』につながりました。」各周ごとのタイトルも斬新です。
本書の面白さのひとつは「映画をディテイルで見るのが好きな」著者が、俳優や監督でなく小道具や小物で連想をつないていること。映画批評で忘れられがちなディテイルをよみがえらせたい。そんな思いをこの本に込めたのだそうです。
舞台となる場所、映画に流れる音楽、登場人物が読む本。見過ごしてしまいそうな細部に、作品の時代背景が映し出されています。なかでも女性が大事な髪を切るシーンについての話は、とても感慨深いものがありました。『若草物語』『ローマの休日』などの外国映画から、最後は高峰秀子が美容師を演じた日本映画へと、女性と髪の話は国を超えて鮮やかにつながっていきます。映画への愛と膨大な知識、遊び心あふれる一冊。映画の細部に宝物が見つかります。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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