朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『花の百名山』。
脚本家・田中澄江の山と花をめぐるエッセイ集です。生涯、自然を愛した人が百の山についての思い出やエピソードをつづります。朝読書に心がみずみずしくうるおう一冊をどうぞ。
『花の百名山』
著者:田中澄江
出版社:文藝春秋
山の話を少しずつ、ゆっくりと味わいながら読む。著者があこがれの花々と出会うたび、私も立ち止まってその喜びを感じたい。どんどん読み進めてしまってはもったいない気がします。
田中澄江さんは十代の終わりから山に登り始め、結婚式の数日前にも登ったほどでした。ただ、若い頃は山を歩くことに夢中で、足もとに咲く花を見る暇もなかった。花の名前も知らなかったそうです。
何十年もたったあとで同じ山をゆっくりと歩きながら、著者は道に咲くアズマイチゲの清楚な花に気づきます。そして、ほかの何種類もの花にも目を向け、長い冬に耐え抜いた植物の生命力に心を動かされるのです。
年齢を重ね歩みが遅くなったからこそ気づくことがある。田中澄江さんの人生経験が愛する山との向き合い方を徐々に変え、花への思いが深まっていったのかもしれません。「自然がこんなにも美しいなら、もうちょっと、もうちょっと、生きていてみよう」——。四季折々の山の風景に、著者の言葉が重なります。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
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