朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、今日を乗り切る力をくれる本。
もうちょっとで心が折れそう。でもあと一回がんばってみる。つらい状況のなかで、なんとか前を向こうとする人たちを描いた本を選びました。今日一日を乗り越えれば、きっと明日はいいことがある。そう信じたくなる2冊です。
寄り添って生きる。
心理描写の名手・乃南アサが、前科ある女性ふたりの人生を描いた感動作。東京下町の谷中界隈を舞台に、つらい過去を抱えるふたりが支え合い、健気に生きる日々を描きます。
芭子(はこ)と綾香が出会ったのは刑務所の中。祖母が遺した古い家に住む芭子は、じっと息をひそめるように暮らしています。一方、綾香はパン屋で修行を積みながら自分の店を持つ夢に向かって毎日元気に働いています。「人並みの暮しなんか、望んだらいけないんだ」と言う芭子を、明るく励まし続ける綾香。もう償いは終わったのだから、普通に暮らしていいと綾香は言うけれど、芭子はそんな気には到底なれなくて——。
そんなふたりのささやかな楽しみは、芭子の家で夕食を共にすることや季節の移り変わりを感じること。そしてなにより大切なのは、独りじゃないということ。今このとき、かけがえのない日常を大事にしている芭子と綾香の気持ちがひしひしと伝わってきます。本書はシリーズ全3冊の1作目です。2作目『すれ違う背中を』3作目の完結編『いちばん長い夜に』もぜひ。
『いつか陽のあたる場所で』
著者:乃南アサ
出版社:新潮社
夢をあきらめない。
人気作家・荻原浩が夢を追い続ける人にエールを贈る、再チャレンジ短編集。元ロックシンガーの演歌歌手、元お相撲さんの探偵、不人気なゆるキャラの「中の人」。みんな人生崖っぷち。
北国の小さなステージで歌うのは、売れない演歌歌手の如月琴路。こぶしをまわし情念を込めてサビを繰り返しても、聞こえるのは潮騒の音だけ、拍手をしてくれる人は誰もいない。わたしの人生、どこで、曲がってしまったの……?(「冬燕ひとり旅」)
それでも彼女には夢がある。大切な夢を捨てずにギリギリ踏ん張る人たちを描く8編。このままいっそ流されてしまった方が楽かもしれない。そんな状況で迷いながらもがいてギラギラしてる。その泥くささに心が揺さぶられます。ギブ・ミー・ア・チャンス。心が折れそうな時、挫折しそうな時におすすめです。
『ギブ・ミー・ア・チャンス』
著者:荻原浩
出版社:文藝春秋
くわしくはこちらの記事をどうぞ。
*『いつか陽のあたる場所で』
*『ギブ・ミー・ア・チャンス』2018年に文庫化されました。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
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