朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『カソウスキの行方』。
お仕事小説などで人気の作家・津村記久子さんの小説集。いろいろうまくいかない時、ふりまわされてばかりの時、この本を読むとふっと力が抜けて気持ちが楽になります。「ムシャクシャしてる、私」と思ったら手に取ってみてください。
『カソウスキの行方』
著者:津村記久子
出版社:講談社
「カソウスキの行方」の主人公の女性・イリエは、自分のいる場所にしっくりこない。入社してから6年、「自分なりに無理してまじめにやってきたと思う」のに、本社から閉鎖対象である郊外の倉庫に左遷されてしまった。こんなことになるなら、もっとやりたい放題しておけばよかったと彼女は自暴自棄気味に思う。
会社をやめろと言われている状況と感じつつ、文具の通販カタログに読みふける日々。居心地悪いどころではないですよね。先が見えない毎日が続くなかで、彼女が思いついたのが「カソウスキ」。人生への意欲を仮想的に満たそうと、同僚の男性を仮想好きになってみると……。
消去法で決めたカソウスキの相手なのに、この人がいい感じなのです。朴訥で大らかそうで。好きごっこが発展して二人がうまくいくといいなあとつい応援してしまいます。
3つの物語の主人公たちは、他人にふりまわされているけれど、自分を見失いそうになりながらも、ぎりぎりのところで踏みとどまって生きている。そのとどまりかたにグッときます。むくわれなかったり、やるせなくても、今、目の前にある小さな幸せを大事にしよう。今日なんとか踏みとどまれば、明日は明日の風が吹くなんて思えてくる素敵な一冊です。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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