今日のカフェボンボンの本棚は、『この世にたやすい仕事はない』。
お仕事小説の名手・津村記久子が30代半ばの女性のたどる職業遍歴を描く連作小説集。それぞれの仕事がどれも面白い。とてつもなくユニークなんです。
『この世にたやすい仕事はない』
著者:津村記久子
出版社:日本経済新聞出版社
あなたにぴったりな仕事があります。職業安定所で紹介されたのは「みはりのしごと」。
「私」が見張るのは要注意人物の生活。昼も夜もなく隠しカメラの映像をチェックする。「コラーゲンの抽出を見守るような仕事をしたい」という希望は叶ったけれど、この仕事にも難点が。暇なのだ。監視対象者が暇人間ならなおさら、見張る自分も暇で暇で仕方がない。
燃え尽き症候群で前職を辞めた女性は、一年間に5つもの仕事を転々とする。紹介されるまま自分にやれる仕事ならと淡々と引き受けてみる。それでもやっぱり仕事はそれなりにきつくって……。
「バスのアナウンスのしごと」「おかきの袋のしごと」とどの仕事もありそうでなさそう、なさそうでありそうなミステリアスな職業ばかり。変わった仕事なのに「職場ではありがちよね!」ということは多々あって、そこに深く共感してしまうのです。
働くってムズカシイ! どんな職業でも自分が実際にやってみなければわからない。お仕事に悩んでいる人の心にしみる小説です。
Love, まっこリ〜ナ
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